フルフィルメントサービスプロバイダー
*この記事は、2023年02月09日に公開された記事です。
これまで、関連法令やブルーガイドでは、4つの経済事業者「製造者」、「認定代理人」、「輸入事業者」、「流通(供給)業者」が定義されておりましたが、2019年6月20日付けで発行された「市場監視と製品のEU法令の遵守に関する改訂版(2019/1020/EU)」で、新たに「フルフィルメントサービスプロバイダー」という新たな経済事業者が追加されました。
製造者でもEU域内に拠点を持つ必要があるのか?自社はフルフィルメントサービスプロバイダーに該当するのか?といった様々なお問い合わせを頂くことがありますので、簡単にですが、解説していきたいと思います。
今回は、フルフィルメントサービスプロバイダーの意味や解釈について、ご紹介したいと思います。
<コンテンツ一覧>
1. フルフィルメントサービスプロバイダーとは
近年ではインターネットが普及し、ECサイト(仲介業者)を通じて手軽に物の売買ができるようになりました。
ECサイトで購入した製品で、製品安全やCEマーキングに対する問題が起こった場合に、ECサイトの事業者はこれまで定義付けがなかったため、製造者、認定代理人、輸入業者や流通業者にも該当しませんでした。
該当する経済事業者ではないため、CEマーキングされていない製品でも売買されたり、さらには、実態がない会社であることも多く、ユーザーや当局から連絡が取れないなどの問題がありました。
このような背景を踏まえ、EUは、2019年6月20日付けで発行された「市場監視と製品のEU法令の遵守に関する改訂版(2019/1020/EU)」で、「フルフィルメントサービスプロバイダー」という新たな経済事業者を追加しました。
フルフィルメントサービスプロバイダーとは、「商業活動の過程で、関連する製品の所有権を持たない倉庫保管、梱包、住所指定、及び発送、配送サービスのうち少なくとも2つを提供する自然人または法人」を指します。
ECサイト(仲介業者)は、フルフィルメントサービスプロバイダーとしての義務を負うことになります。
フルフィルメントサービスプロバイダーは、取り扱う製品に対し、製造者、輸入業者、認定代理人がEU域内に設立されていない場合に、EU域内に設立されていなければなりません。
当局からの要請に応じて、協力ができるように、実態のある拠点をEU域内に置く必要があるとしたものです。
2. オンライン販売における上市について
インターネット通信販売といったオンライン遠隔販売を行い、EUのエンドユーザーをターゲットに提供される製品は、EU市場で利用可能であるとみなされます。
「EU市場で利用可能になる(Making available on the market)」という言葉は、ブルーガイドでも説明があるように、EU市場のエンドユーザーにその製品の使用を意図した状態で供給するという行為を指すというように説明されています。
オンライン販売は、エンドユーザーが、実際に使用していなくても、最終使用ができる状態で製品を供給する行為を行うことは、EU市場で利用可能であるとみなされるということになります。
オンライン販売に関するガイドラインは、ブルーガイドにも項目がありますので、ご一読下さい。
3. イーエムテクノロジーのサービス
イーエムテクノロジーでは、欧州CEマーキング制度、ブルーガイドなどの法規、規格解釈、裏付けのための調査などの技術サービスを行っております。
お客様の製品、状況、ご要望に応じた業務をご提案させて頂きます。
ご相談ごとがございましたら、お気軽にお声がけください。
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【イーエムテクノロジー株式会社 技術部】