欧州CEマーク 製造業者の義務
欧州CEマーキング適合支援サービスを行っているイーエムテクノロジーです。
今回は、CEマーキングを付けて製品を設計・製造する製造業者(メーカー)が負う義務についてご紹介します。
現在のCEマーキング制度は、2010年にNLF(New Legislative Framework)が発効され、NLFという新しい法的枠組みの中で運用されています。
NLFが施行され、CEマーキング製品を使用するユーザーが製品メーカーの情報を入手できるようにと、トレーサビリティが重視されております。
EMC、LVD、REなどの各指令は、NLFへの整合のために改訂され現在の指令番号に至っております。
ここでは、各指令に共通する製造業者の義務についてご紹介致します。
CEマーキングにかかる製造者の義務とは?
CEマーキングを行う上で、製造者の方に必ず知っておいて頂きたい製造者の義務を下記にまとめました。
CEマークを貼って、製品を出荷する以上、製造者にかかる責任があります。
1.指令の必須要求事項への適合
該当指令の必須要求事項を満たすように設計・製造された製品のみを上市しなければなりません。
通常、製品にCEマーキングを貼り付ける場合、製品は複数指令が適用されます。
該当する指令に関して、その適合性を証明するための設計・試験データやリスクアセスメントシート、取扱説明書、適合宣言書などを作成しなければなりません。
2.技術文書の作成
指令への適合性証明を行うためには、技術文書 TD(Technical Documentation)または、技術構造ファイル TCF(Technical Construction File)の作成が義務付けられています。
技術文書は製品上市後、10年が経過するまで保管しなければなりません。
技術文書作成に関しては、こちら(関連ページ 「CEマークの技術文書」)をご覧ください。
3.EU適合宣言書の作成
製品が指令の必須要求事項に適合していることを証明するためにEU適合宣言書EU DoC(EU Declaration of Conformity)を作成しなければなりません。
EU適合宣言書は製品上市後、10年が経過するまで保管しなければなりません。
4.継続生産、設計変更への対応
CEマーキングを貼り付けた製品を継続生産する場合、指令への適合性を継続的に確保することが必要になります。
例えば、部品廃型などに伴う設計変更が生じた場合、製品特性に関する変更であれば、変更に対する適合性を証明しなければなりません。
そのほかの例として、製品に適用している整合規格が改訂された場合は、規格の格上げが必要になります。
このように、CEマーク対応製品を継続生産し続ける場合は、その適合性について証明できるようにしなければなりません。
5.製造者のトレーサビリティ情報の表示
NLFが施行され、ユーザーから見て製造者にたどり着けるように製品情報として、型式はもちろん、S/N、ブランドのトレードマーク、連絡が可能な住所などの識別情報を明示することが必要になっております。
ユーザーに対するこのような情報提供は、製品上に貼り付ける銘板ラベルや添付資料、または梱包上への明記として義務化されております。
製造者は、その個別識別情報(Lot No.や機番)から社内品質管理情報にトレースをとれるようにしておくことが望まれます。
6.取扱説明書への明記
エンドユーザーが容易に理解できる言語で取扱説明書を用意することが義務付けられています。
特に使用に関する注意事項として、ユーザーが製品を使用するにあたり注意しなければならない諸注意に関しては、ユーザーが理解できる言語で表記すべきです。
このような使用に関する注意事項は各指令の要求に沿った内容でなければなりません。
イーエムテクノロジーでは、取扱説明書に関する記載事項についてCEマーキングの要求義務を含んでいるかどうかを確認・追記するサービスも行っております。
製品の取扱説明書に記載されている内容が、CEマーキングの要求を満たしているかどうか、追記するべき事項がないか、といった取扱説明書に関する記載事項について疑問があるお客様は、お気軽にお問い合わせください。
7.EU管轄当局への協力
EU各国は、CEマーキングの要求を満たす安全な製品のみを流通させるために、各国当局が市場監視を行っております。
もし、市場で不適合製品が見つかった場合、不適合製品のホームページでの公開(RAPEX)、製品回収や適合するための是正処置・再発防止など、メーカーは罰則を受けます。
その際は、当局へ技術文書の提出等を含め、全面的に協力しなければならないことが義務化されております。
このように上記7つは、各指令に共通する「製造者の義務」として挙げられております。
製造メーカーはこれらにしっかり対応してCEマーキングを行うことが重要になります。
CEマーキングのことでお困りごとがございましたら、お気軽にご相談頂ければと思います。