CEマーキングとは

CEマーキングとは

CEマーキングとは?

*この記事は、2024年07月16日に更新された記事です。

ここでは、はじめてCEマーキングに対応しようとしている方に向けて、CEマーキングの全体像をつかんで頂くために、CEマークの制度について解説していきたいと思います。

CEマーキングという言葉を初めて聞いた方には、「CEマーキングとは何なのか?一体どういった制度で、何をやらなければならないのか?」など、疑問点ばかりだと思います。

また、CEマークというのは、必ず認証機関による「認証」が必要で、かなりハードルが高いものと誤解されていることもあり、正しく理解されていないことも多いかと思います。

CEマーキングの実務を進めるにあたり、少しでも参考になれば幸いです。

<コンテンツ一覧>

 

1. CEマーキングの基礎

CEマーキングとは、1993年からスタートしたEUの法律です。

欧州EU加盟国内で製品を流通させるためには、EU法令で定められた安全性能基準を満足する必要があります。

そのEUが要求する安全性能とは、「CEマーキング」という制度を満たすことで証明されることになっており、CEマークが貼り付けてあるということは、その製品はCEマーキングに関連するEU法令全てを満たしていることを証明しているという意味合いを持っています。

CEマークは、欧州経済地域EEA(European Economic Area)へ製品を出荷流通する時に必要とされるマーク表示になります。

EEAとは、欧州連合EU(European Union)の加盟国と欧州自由貿易連合EFTA(European Free Trade Association)からなる単一市場のことです。

欧州経済地域EEAの説明

 

【欧州連合 EU加盟国 27カ国】 *2020年1月31日にイギリスがEUを離脱し、27ヵ国になりました

ベルギー、ブルガリア、チェコ、デンマーク、ドイツ、エストニア、アイルランド、ギリシャ、スペイン、フランス、クロアチア、イタリア、キプロス、ラトビア、リトアニア、ルクセンブルク、ハンガリー、マルタ、オランダ、オーストリア、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、スロベニア、スロバキア、フィンランド、スウェーデン

*イギリスは、2020年1月31日にEUを離脱

 → イギリスのEU離脱に関する記事(イギリスのEU離脱 CEマークとUKCAマーク)をご覧ください。

 

【欧州自由貿易連合 EFTA加盟国4カ国】

アイスランド、ノルウェー、(スイス)、リヒテンシュタイン

 

【EU加盟候補国】

マケドニア旧ユーゴスラビア、アイスランド、モンテネグロ、セルビア、トルコ、ボスニア・ヘルツェゴビナ、アルバニア、コソボ

*EU加盟候補国のCEマーキング対応については、個別に最新の法令を確認する必要があります。

 

これらの国へ製品を出荷するためには、製品にCEマークを表示する必要があります。

CEマークが貼り付けられた製品は、EEA域内で自由流通することができます。

CEマークは、ただ単に貼り付けて出荷すればよいというわけではなく、CEマークが表示された製品は、関係するEU法令に適合した製品であることを意味しております。

これは、市場流通する製品の安全水準を確保していることを客観的に示すマーク表示であり、関係するEU法令の中で、製造者は、その義務を果たし、責任をもってCEマーク表示を行っていることになります。

もしも、CEマーク表示がなかった場合、あるいは、CEマーク表示の必要がない製品にCEマークを表示していた場合や、CEマークの表示はあるけれど、適切な評価やドキュメント作成を行っていない等の不備があった場合は、違反行為としてみなされ処罰の対象となってしまいます。

 

2. CEマーキングの違反行為と罰則

EUでは、市場流通する製品に対して、その安全水準が確保されていることや、その製品に適用されるEU指令が正しく適用されているか、について市場監視が行われております。

市場監視はEU各国で行われており、CEマークの不正表示や、指令の不適合、ドキュメントの不備等、関連するEU法令に適合していないことが発覚した場合は、違反行為として処罰の対象となってしまいます。

具体的な罰則内容としては、出荷・販売の停止、市場からの製品回収、不正していた製造業者の公開、罰金等があり、その悪質さを考慮した罰則が科されることになります。

CEマーキングの罰則

 

CEマーキングという制度は、製造者がEU法令に適合していることを自己の責任のもと、適合していることを宣言するという形をとっています。

この製造者による自己宣言という点が、特徴的であり、製造業者の品質保証に委ねられた制度になりますので、CEマーキングの水準を満たしていなくてもCEマークを貼り付けることはできますが、欧州の市場監視で違反が発覚した場合は多大なる損失を被ることになります。

市場監視でCEマーキングの水準を満たしていない違反製品が発覚した場合は、当局から製造業者にCEマーキングを行った設計・製造の詳細過程を追求され、是正・改善・訴求などの対応要請があり、罰則が科されることになります。

また、製造業者が自主的に対応できないような製品は「RAPEX通知システム」という形で、欧州委員会のホームページ上で公開されます。

RAPEX通知システムは、毎週更新されており、メーカー名、型番、リスクの程度や製品写真等が掲載されています。

RAPEX通知システム (https://ec.europa.eu/safety-gate-alerts/screen/webReport)

一度、このRAPEX通知システムに掲載されてしまうと企業のコンプライアンス問題や売上げなどに多大なる影響を及ぼすことになり、大きな損害を被ることになってしまいます。

また、2010年からは、New Legislative FrameworkというCEマーキングを行う上での新しい法的枠組みが施行されており、市場監視が強化されております。

市場監視の強化というのは、「市場監査ルールの改善、CEマーキングの乱用防止、安全性のない不適合製品を市場から回収すること」を指しております。

このような罰則を受けてから対処するには、あまりにもリスクが大きいため、正しくCEマーキングを行うことが求められております。

 

3. CEマーキングの適合宣言とは?

製品にもよりますが、一般的にCEマーキングでは「自己宣言」が認められております。

よく「CE認証を受けたい」と、ご相談を頂くのですが、CEマーキング適合を目指す前に、「自己宣言」と「認証」についての意味合いを知っておく必要があります。

自己宣言と認証の違いについては、こちらの記事(CEマーキング 自己宣言と認証の違い)をご覧ください。

CEマーキングの適合宣言は、基本的には製造者自身が行うものとなっております。

適合宣言を行うために必要な手順として、適合証明を行うわけですが、適合証明の方法は各指令で決まっており、ほとんどの製品で、自己宣言(モジュールA「製造者による内部生産管理」)が認められております。

もちろん、欧州の認証機関(Notified Body)を介して、適合宣言を行うこともできますが、製造者自身が適合性評価を行い、適合宣言(自己宣言)を行うこともできます。

自己宣言が認められている製品のCEマーキングのほとんどは、認証機関(NB)に認証をしてもらうものではなく、製造者責任の下で、製造者自身が適合宣言するというものです。

欧州認証機関(NB)が発行しているCoC(Certificate of Compliance:適合性証明書)というものがありますが、自己宣言が認められている指令では、必ずしも必要ではありません。

CoCがあれば、NBのお墨付きをもらうことはできますが、適合性に責任を負うのはあくまでも製造者自身であり、NBが責任を負うわけではありません。

これらは、CEマーキング適合を目指す前に、製造者自身が知っておくべきポイントです。

CEマーキング適用の流れ

一般的に、製品のCEマーキング対応を行う際の業務の流れは、下記のようになります。

1. 製品がCEマーキングの対象となるのかを調査します。

2. CEマーキングの各ニューアプローチ指令(機械指令,EMC指令,低電圧指令等)に該当するかどうかを調べます。

3. 各指令要求にある内容を把握し、設計や製造に盛り込みます。製造者義務の遵守、銘板作成、表示等を適確なものにしておく必要があります。

4. 各該当指令の適合性評価を行います。この時、欧州通知機関NB (Notified Body)の関与が必要な場合は、NBを介したやり取りが必要になります。自己宣言でよい場合は、各指令の整合規格に沿った試験の実施、試験レポート等が必要です。

5. 文書作成を行います。技術文書作成、TCFまとめ、マニュアル等をCEマーキング法令で要求される内容になるように作成します。

6. EU適合宣言書の作成を行い、製品出荷となります。

7. 継続生産する場合は、規格改訂等の最新情報を監視し、関連文書の維持管理を行っていきます。

 

4. CEマーキングの対象となる製品

製品によって適用されるEU指令が違いますが、主な指令としては、産業用機械(食品加工機械や工作機械等)を対象とした「機械指令」、電磁波の発生や影響を受ける電気回路を含む電子・電気機器を対象とした「EMC指令」、電気安全を対象とした「低電圧指令」、圧力容器を対象とした「圧力機器指令」、有害化学物質の規制を対象とした「RoHS指令」、無線機器を対象とした「無線機器指令(RE指令)」等が挙げられます。

産業用機械や工業用機器、医療機器、家電製品など、多岐にわたる製品が、CEマーキングの対象となっております。

製品がどの指令に該当するのかについては、製造業者の判断に委ねられておりますが、適切に指令を選定しなければなりません。

ニューアプローチ指令一覧

CEマーキングの対象となる場合、下記の指令が挙げられます。

ここに該当しない製品の場合は、特定の指令や規則が適用される場合がありますので、別途調査が必要になります。

規則及び指令の名称 法令番号
能動埋込医療機器指令(AIMDD)
(Active implantable medical devices directive)
「2017/745/EU」
ガス器具規則(GAR)
(Gas appliances regulation)
「2016/426/EU」
ケーブルウェイ装置規則
(Cableway installations regulation)
「2016/424/EU」
建設製品規則(CPR)
(Construction products regulation)
「(EU)/305/2011」
エコデザイン指令
(Ecodesign of energy related products directive)
「2009/125/EC」
EMC指令(EMCD)
(Electromagnetic compatibility directive)
「2014/30/EU」
防爆機器指令(ATEX)
(Equipment for potentially explosive atmospheres directive)
「2014/34/EU」
民間用爆発物指令
(Explosives for civil uses directive)
「2014/28/EU」
温水ボイラー指令
(Hot-water boilers directive)
「92/42/EEC」
体外診断用医療機器規則(IVDMD)
(In vitro diagnostic medical devices regulation)
「2017/746/EU」
昇降機(リフト)指令
(Lifts directive)
「2014/33/EU」
低電圧指令(LVD)
(Low voltage directive)
「2014/35/EU」
機械指令(MD) → 機械規則(MR)
(Machinery directive) → (Machinery Regulation)
「2006/42/EC」「2023/1230/EU」
計量器指令(MID)
(Measuring Instruments directive)
「2014/32/EU」
医療機器規則(MDR)
(Medical devices regulation)
「2017/745/EU」
屋外騒音指令(OND) → 屋外騒音規則(ONR)
(Outdoor noise directive) → (Outdoor Noise Regulation)
「2000/14/EC」「2024/1208/EU」
非自動秤指令(NAWI)
(Non-automatic weighing instruments directive)
「2014/31/EU」
個人保護具規則(PPER)
(Personal protective equipment regulation
「2016/425/EU」
圧力機器指令(PED)
(Pressure equipment directive)
「2014/68/EU」
火工品指令
(Pyrotechnics directive)
「2013/29/EU」
無線機器指令(RED)
(Radio equipment directive)
「2014/53/EU」
レジャー用船舶指令
(Recreational craft directive)
「2013/53/EU」
RoHS指令
(Restriction of hazardous substances in electrical and electronic equipment directive)
「2011/65/EU」
玩具安全指令
(Safety of toys directive)
「2009/48/EC」
簡易圧力容器指令
(Simple pressure vessels directive)
「2014/29/EU」
EU堆肥製品規則(FPR)
(EU fertilising products regulation)
「2019/1009/EU」

CEマーキングを適用するためには、これら指令一覧から製品に該当すると考えられる指令を選択し、適合性について証明しなければなりません。

どの指令に該当するのかを決めるのは、完全に製造者自身に委ねられております。

どの指令に製品が該当するのか?については、根拠を持って適切に選択する必要があります。

指令の適用、適合性証明については、製造者責任となりますので、コンプライアンス遵守のためにもしっかり理解し、適切な対処が必要となります。

このような指令の選択や適合性証明などは、技術文書にまとめる必要があります。

 

5. CEマーキングで必要となる技術文書

CEマーキングでは、製品に該当する各指令により、技術文書(Technical Documentation)の作成が義務付けられています。

この技術文書は、製造者が作成しなければならないもので、CEマーキングを行うための技術的な根拠をまとめた書類になります。

どの指令に該当する製品なのか、どういったプロセスで適合証明を行うのか等をまとめた文書ですので、これを第三者から見ても明確にわかるようにしておく必要があります。

 

各指令に対する適合証明

機械指令、EMC指令、低電圧指令、RoHS指令などに対して、適合性評価を実施し、適合証明を行います。

これは、各指令に対し、関連する試験を実施し、評価していく必要があります。

試験結果は評価レポートにまとめ、適合性を証明しなければなりません。

 

EU適合宣言書 (EU Declaration of Conformity)の作成

CEマーキングで要求される各指令に適合していることを証明するためにEU適合宣言書を作成します。

EU適合宣言書の作成については、各指令要求に見合った内容で作成する必要があります。

適合宣言書の作成に関しては、本コラム内で別途ご紹介します。

 

6. イーエムテクノロジーのサービス

ざっと書きましたが、このようにCEマーキングを行う上でやらなければならないことがたくさんあります。

イーエムテクノロジーでは、このようなCEマークの一連業務に対し、製品にどのような対応を行えばよいのか、CEマーキングを行うために必要な各専門分野の当社エンジニアで構成された技術チームが対応しております。

お客様の製品が、どのような欧州法令、規格に該当し、どのような製品設計/製造、評価/適合証明を行なえばよいのか?、どのような文書類を整備しなければならないのか?など、お客様のご要望に応じた業務プランをご提案させて頂きます。

各指令に対する試験の実施から評価レポートや技術文書、EU適合宣言書等の文書類作成など、CEマーキング業務の最初から最後まで、一貫した業務対応を行っております。

他社には負けないCEマーキングの実務経験の豊富さや、専門知識を持つ技術者が直接お客様のサポートを致しておりますので、お客様の業務工程が計画通りにスムーズに進みます。

少しでも、お客様のお役に立てるように全スタッフ一丸となってご協力させて頂きますので、ご相談事ございましたら、お気軽にお問合せ頂ければと思います。

 

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【イーエムテクノロジー株式会社 技術部】

 

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