CEマーキング自己宣言と認証の違い
毎日、多くのお客様からCEマーキングのお問い合わせを頂き、誠にありがとうございます。
今回は、CEマーキングを取る(CEマーキングの要求に適合する)ために、知っておきたい「自己宣言」と「認証」の違いについて、ご紹介させて頂きます。
お客様の中には、CEマーキングは製造者の自己宣言だからと適切な評価を行わずにただ単に、「自己宣言」さえすればよいと思っておられる方がいらっしゃったり、逆に、「認証」が必要であり、とてもハードルが高いものと思われている方もいらっしゃいます。
今回、ご紹介させて頂くことを理解して頂ければ、今まで曖昧だった認識がはっきりするのではないかと思いますので、最後までご一読頂ければ幸いです。
CEマーキングは欧州の法律である
CEマーキングは、欧州の法律です。
違反した場合は罰則が伴います。
企業のコンプライアンス問題もありますので、CEマーキング制度を正しく理解して、製造者自身が自社の責任の下で、CEマークを貼り付けることが求められております。
まず、知っておかねばならないこととして、CEマーキングの対象となる製品に対して、適用される各指令の選定することや、指令への適合性を証明することは、製造者の義務とされています。
製造者は、適切に該当する指令を選択し、その指令に適合していることを適切に証明しなければなりません。
指令への適合性を証明する方法として、主に「自己宣言」と「認証」の2つの方法があります。
適合性評価モジュール
指令への適合性評価は、「自己宣言」と「認証」の2つに分けられますが、どちらの方法を使って適合証明を行うことができるのかについては、各指令原文で定められております。
適合性評価は、評価モジュールという形で分けられており、各指令では、どのモジュールを使用することができるのか?について記載されております。
適合性評価モジュールはModule A~Hまであり、簡単に分けますと、モジュールAは製造者による「自己宣言」であり、それ以外のモジュールは欧州委員会が認めた通知機関NB(Notified Body)NBが関与する「認証」だと思って頂ければよいかと思います。
さらに詳しく知りたい方は、上部にあります「資料請求」からお問合せ頂ければ、「CEマーキングの基礎」ガイドブックを差し上げますので、是非ご利用下さい。
モジュールAは、正式には自己宣言ではなく、「製造者による内部生産管理」という手法になります。
「自己宣言」でも「認証」でも、どちらの方法を選んだとしても、CEマーキングに対し、最終的な責任を持つのは適合宣言を行う製造者自身になります。
「自己宣言」とは
モジュールAを使用した適合証明では、製造者による「自己宣言」が認められています。
しかし、自己宣言が認められているとはいえ、欧州の法律になりますので、何の根拠もなしに、CEマークを貼付けて、ただ単に「自己宣言」していればいいのだろうと勝手に解釈してしまうといけません。
欧州市場監視、客先等で不適合が発覚した場合は、法律違反として罰則を受けてしまいます。
それが悪質であると判断されれば、相当な被害が出ることになりますので、自社を守る上でも、しっかりと取り組んでおきましょう。
自己宣言は、製造者自身で指令への適合性を証明できることになりますが、その証明には設計・製造に関連するエビデンス資料(証拠となる評価レポートなど)を技術構造ファイルTCF(Technical Construction File)にまとめなければなりません。
また、モジュールAを用いた「自己宣言」でも、欧州認証機関による証明を受けたい場合は、NBによる審査を受ければ、NBからCOC (Certificate Of Conformity)という認証適合証明書を発行してもらうことが可能です。
しかし、NBからCOCを発行してもらったとしても、適合性に対する責任はあくまでも製造者自身ですので、欧州現地で不適合となった場合に認証機関NBの責任が問われることはございませんので、ご注意下さい。
「認証」とは
モジュールA以外のモジュールが適用される場合、欧州委員会より認定された通知機関NBによる審査等を受け、適合性に対して問題がないことを証明します。
欧州認証機関NBは、欧州委員会からその技術分野に対する認定を受けた機関です。
基本的に、欧州認証機関NBによる認証が必要な場合というのは、リスクの高い製品に対して要求されます。
認証行為とコンサルティングとの違いについて
EN/ISO17025認定を受けた認証機関では、認証行為を行う上で必要となる独立した機関であり、その評価の公平性の面からも、コンサルティング行為が禁止されております。
認証機関は、その適合性の合否のみを判断し、適合か不適合かのどちらかの判定行為を行う機関になります。
このため、適合させるためのアドバイス等を行うことが禁止されており、具体的にどのようにすれば適合できるのか、資料の作成方法などのコンサルティング行為は、製品を認証する立場から外れた行為であるとされているためです。
あくまでも認証機関は認証行為を行う機関となります。
一方、弊社のようなコンサルティング会社は、認証機関のような認証行為はできませんが、適合のために必要な具体的なアドバイスや、資料作成、評価試験などの実務をお手伝いすることが可能です。
弊社では、欧州CEマーキングについて、これまで多くの実績がございます。
認証機関出身の経験豊富な専門エンジニア、過去事例や必要資料、評価/試験の実施まで、CEマーキングに必要な業務遂行に特化しており、適格性と効率性の面で、他社にはない技術コンサルティングサービスをご提供しております。
いつでもお気軽にご相談下さい。
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