CEマーキング 流通業者の義務
CEマーキングでは、「製造者」、「認定代理人」、「輸入業者」、「流通(供給)業者」の4つが事業者の定義として規定されています。
今回は、EU域内における「流通(供給)業者の義務」について、ご紹介したいと思います。
ここでいう流通業者とは、小売り業者や卸売業者等を指します。
基本的には大量生産される製品に対するトレーサビリティ情報に対し、流通業者としてどのように対応しておかなければならないのか？その義務について確認していきたいと思います。
CEマークにおける「流通(供給)業者」とは？
CEマーキングにおける流通業者の定義は、以下のとおり定められています。(ブルーガイドより引用)
- 流通業者とは、サプライチェーンにおいて製品を市場で利用可能にする、製造者または輸入業者以外の自然人または法人である。
- 流通業者は、特定の義務に従い、市場監視の状況下におけるキーとなる役割を担っている。
流通業者とは、製品を市場で利用可能にする事業者であり、製造者または輸入業者以外の法人または自然人であるとされています。
製造業者や輸入業者が「流通業者」になることはありません。
流通業者は、製造者と認定代理人のような優先関係を持つ必要はなく、EU域内に製品を広く流通させることが目的であり、そのような仕組みを持つ小売業者、卸売り業者が流通業者であるということです。
流通業者は、適用される要求事項に“十分に注意して”行動しなければならないとなっております。
この“十分に注意して”とは、その状況下において合理的に期待される判断、注意、分別、決定及び活動のレベルを指しており、グレーな表現ではありますが、通常、常識的に判断されるレベルを指しています。
流通業者の義務として、製造者または認定代理人によって、適切にCEマーキングされている製品であることを確認する義務があります。
これに対し、製造者、認定代理人、輸入業者の義務は、CEマーキング適合品だけを市場投入するためにCEマーキングの適合証明に対しての義務を負っていますが、流通業者はCEマーキング適合品であることを確認するという義務に留めています。
なぜなら、流通業者は、EU域内への流通を主目的とした業者であり、数ある多くの商品のCEマーク適合性について一つ一つ証明していくための書類を集めることは非常に困難であるためです。
CEマーキングの適合性評価や技術文書の作成、保管については、製造者、認定代理人、輸入業者の義務であり、流通業者には適用されませんが、どの製品にCEマークが要求され、添付文書(取扱説明書、適合宣言書等)やラベルの言語は適切であるか、不適合となるような表示はないか等については、知っておかなければなりません。
特に、流通業者としての義務を守るためにも、十分に注意を払って行動したことを立証できるようにしておく必要があります。
また、すでに上市されている製品に対し、現在の法令義務に適合しているかどうかを確認する義務も流通業者には適用されません。
流通業者の義務
流通業者は、製品を利用可能にする前に次の形式的要求を検証しなければならないことになっています。
- 製品に必要な適合マーク(CEマーク等)があること。
- 適用法令で要求される場合、取扱説明書などの関連文書は消費者向けに容易に理解できる言語で提供されること。
- 製造者及び輸入者の名称、商標、コンタクト可能な住所、型式やシリアル番号などのトレーサビリティ情報を製品に表示していることを確認すること。
市場監視当局への協力
流通業者は、流通する製品がＥＵ法令に適合していないと思われる場合は、市場に流通させてはなりません。
市場監視当局がCEマーキングの適合性について調査を行う際、流通業者に協力を要請する場合があります。
その際、流通業者は、商品の仕入れ先である製造者、認定代理人、輸入業者または製品の供給者を特定できなければなりません。
また、流通業者は、次のようなことも市場監視当局に協力しなければなりません。
1. 不適合の疑いがある場合は、是正処置を発動する。
2. 製品に責任を負う製造者、または輸入業者の特定に関して、市場監視当局をサポートする。
3. 所管当局の根拠ある要求に応じて、当局に協力し、製品の適合性を立証するためのあらゆる情報及び文書を提出する。
4. 市場監視当局の要求に応じて、製品の供給元または供給先の事業者を特定する。この情報は、製品の供給を受けた後、また、供給した後10年間、提供できなければならない。
当社では、CEマーキングについて、様々なアドバイス・サポート業務を承っております。
具体的なアドバイス、お客様の課題を解決するためのサポートを行っておりますので、お気軽にご相談頂ければと思います。
