3ステップメソッド ステップ1 「本質的安全設計方策」とは
3ステップメソッドの1番目のステップとして、「本質的安全設計方策」というものがあります。
これは、“本質的な安全”を考慮し、リスクを低減することができないかどうかを考えるという内容です。
本質的に安全設計を考えることとは、リスク低減プロセスの中で最も優先される事項になり、設計による危険源の排除を行えないかどうかを検討します。
危険源そのものを無くしてしまうことができれば、最も効果的な方法となりますので、最初に優先されるものになります。
また、この本質的安全設計方策は、危険源から守るために取り付けられたガードや安全性を運用でカバーするためにマニュアルへの記載等の対応を行ったとしても、これらはユーザー側で必ずしも守られる方策ではないのに対し、本質的に危険源をなくすことができることから、簡単には安全性が損なわれないという点で優れています。
ステップ1「本質的安全設計方策」
本質的安全設計方策の例を挙げると、以下の様なことが考えられます。
- 危険な動作部分を無くす
- シャープエッジ(鋭利な角)を取り除く
- 危険な材料等を使用している場合は、それらを危険で無いものに置き替える
危険源を無くしてしまうことが不可能な場合は、リスク低減の為の他の本質的安全設計方策を適用します。
これは、機械設計に関する特性の見直しや機械と人との相互作用に基づくものとなり、以下の様な例が挙げられます。
本質的安全設計方策の例
- 電気モータの定格を低減する、エアや油回路の圧力を低減する(力の制限)
- 危険動作の速度を低減する
- (落下のリスクに関し)作業場所を高い位置から低い位置に変更する
- (人間工学的リスクや落下時の挟まれのリスクに関し)持ち運び対象物の重さを軽くする(これらは危害のひどさのパラメータを大幅に低減する方策となります)
- 人の危険源の暴露の必然性を無くす(機械の自動化やライン化等)
- 危険源を人がアクセスする必要の無いエリアに移設する(これらは危険源の暴露のパラメータを大幅に低減する方策となります)
- 機械の構成部品を信頼性が高いものに変更する(機械部品、電気部品、空圧/油圧構成部品やソフトウェア等)
- 故障の結果、危害を発生する可能性を有する制御システムの安全関連部への安全設計方策の適用(ISO 13849-1やISO 13849-2に基づく、基本安全原則や十分吟味された安全原則の適用、冗長性やダイバーシティ(多様性)の適用)
(これらは危険事象の発生確率のパラメータを大幅に低減する方策となります。)
ここまでが本質的安全設計方策の主な例です。
本質的安全設計において、危険源を排除する事が出来れば特に考慮する必要はありませんが、力の低減や位置の変更を行う場合は、それぞれ具体的な数値が規格に規定されている場合がありますので、それらの規格を参照しながら設計変更を行う必要があります。
繰り返しとなりますが、本質的安全設計方策はリスク低減の一番初めに考慮する必要がある方策となります。
これらを考慮すると、製品機能が実現できないかもしれません。
製品機能に影響を及ぼしてしまう等の問題があり、本質的安全設計方策を考慮できない場合は、3ステップメソッドの第2ステップ「安全防護策、及び付加保護方策」を考えていくことになります。
今回はここまでとします。
続きは、次回コラム「3ステップメソッド2 安全防護策①」でご紹介致します。
3ステップメソッドを用いるには、製品のライフサイクルを含み、様々な要点を考慮していく必要があります。
リスクアセスメントの実施について、ご相談ごとがございましたら、当社までお気軽にご連絡下さい。