CEマーキング EU法令適合までの流れ

 

CEマーキング業務の流れ

 CEマーキングとは、EUで販売される製品に対しEUが定めた基準に適合していることを表すマークのことです。

CEマーキングは、EUの法律として貼り付け義務を課しています。

CEマーキングの貼り付けがなかった場合や、技術文書が作成されていない場合、試験結果などの根拠がない場合などの不備が発覚した時には、EUから罰則を科せられます。

罰則とは、製品の販売中止や回収、罰金刑、禁固刑などがあり、重い刑罰が与えられますので、CEマーキングのルールに従って貼り付けることが重要になります。

詳細については、「CEマーキングとは」をご覧下さい。

 

CEマーキングの主なプロセスについて

 CEマーキングを取得する主な流れは、下記のようになります。

  1. 製品に適用される規則・指令の選択

  2. 指令の必須要求事項に適合するための適合性評価方法の選択

  3. EU認証機関(Notified Body)の関与が必要かどうかの判断

  4. 規格に基づく試験、適合性評価の実施

  5. 技術文書(Technical Construction File /Technical Documentation)の作成

  6. EU適合宣言書の作成

  7. CEマークの貼り付け表示

それでは、順番に解説していきたいと思います。

 

1. 適用される規則・指令の選択

 CEマークの表示がある製品は、その製品に該当する複数のEU法令の基準を満たしていることを証明するものです。

適用される指令の選択は製造者に委ねられておりますが、都合の良い解釈をして指令に該当しないと判断しないように注意して下さい。

 

製品に適用される指令は、2019年現在で25指令あります。

 

  指令名称 指令番号
埋込式能動医療機器指令
(Active implantable medical devices)
*医療機器規則(2017/745/EU)に移行します。
2020年5月26日までは移行期間です。
→ コロナウイルスの影響のため、2021年5月26日まで移行期間が延長されています。
90/385/EEC
→ 2017/745/EUへ
ガス燃焼機器
(Appliances burning gaseous fuels)
2016/426/EU
旅客用ロープウェイ
(Cableway installations designed to carry persons)
2016/424/EU
4 建築資材
(Construction products)
305/2011/EU
5 エネルギー関連製品
(Eco-design of energy related products)
2009/125/EC
6 EMC
(Electromagnetic compatibility)
2014/30/EU
7 防爆機器
(Equipment and protective systems intended for use potentially exposive atmospheres)
2014/34/EU
8 民生用爆薬
(Explosives for civil uses)
2014/28/EU
9 熱水ボイラー
(Hot-water boilers)
92/42/EEC
10 体外診断用医療機器
(In vitro diagnostic medical devices)
*体外診断用医療機器規則(2017/746/EU)に移行します。
2022年5月26日より適用されます。
それまでは移行期間です。
98/79/EC
→ 2017/746/EUへ
11 昇降機(リフト)
(Lifts)
2014/33/EU
12 低電圧電気機器
(Low voltage)
2014/35/EU
13 機械
(Machinery)
2006/42/EC
14 測量機器
(Measuring Instruments)
2014/32/EU
15 医療機器
(Medical devices)
*医療機器規則(2017/745/EU)に移行します。
2020年5月26日までは移行期間です。
→ コロナウイルスの影響のため、2021年5月26日まで移行期間が延長されています。
93/42/EEC
→ 2017/745/EUへ
16 屋外用機器の騒音
(Noise emission in the environment)
2000/14/EC
17 非自動重量測定器
(Non-automatic weighing instruments)
2014/31/EU
18 身体保護用具
(Personal protective equipment)
2016/425
19 圧力機器
(Pressure equipment)
2014/68/EU
20 火工品
(Pyrotechnics)
2013/29/EU
21 無線
(Radio equipment)
2014/53/EU
22 レジャー用船舶
(Recreational craft)
2013/53/EU
23 RoHS
(Restriction of Hazardous Substances in Electrical and Electronic Equipment)
2011/65/EU
24 玩具安全
(Safety of toys)
2009/48/EC25
25 簡易圧力容器
(Simple pressure vessels)
2014/29/EU

 

この中から製品に該当する指令を選択し、適用します。

どの指令に該当するかは、各指令の原文を読み、適用範囲に該当するかどうかを調べます。

解釈が難しい場合や、どのように進めていけばよいかわからない場合は、お気軽に当社にご相談下さい。

 

2. 指令の必須要求事項に適合するための適合性評価方法の選択

 製品にもよりますが、一般的にCEマーキングは「自己宣言」という適合形態をとっています。

製品が特定指令に該当するものは認証機関の関与が必要になりますが、一般的に該当する機械指令やEMC指令、低電圧指令、RoHS指令等は「自己宣言」という適合証明方法を採用してもよいことになっています。

指令の必須要求事項に適合するための適合性評価の方法は、各指令に記載されていますが、大きく分けて2パターンがあります。

1つは「自己宣言」という方法で、製造者自らが適合性評価を実施する方法です。

規格に基づく試験を実施し、試験結果を根拠に適合性を証明することになります。

ほとんどの場合は、自己宣言が採用できますので、自社や当社のような外部の技術支援会社を使い適合性評価を行っていくことが可能です。

そしてもう1つの方法は、「認証機関の関与」による適合証明方法です。

これはEU認証機関(NB)に製品の適合性評価について審査を行ってもらう方法です。

 

3. EU認証機関(Notified Body)の関与が必要かどうかの判断

 EU認証機関であるNBの関与が必要になるかどうかは、製品の該当指令の内容によって判断しなければなりません。

特に人体に危険が及ぶような機械製品などは、NBの関与が必要になる可能性があります。

このあたりの判断は指令や規格に精通していなければ難しいかもしれません。

解釈が難しい場合や、どのように進めていけばよいかわからない場合は、お気軽に当社にご相談下さい。

 

4. 規格に基づく試験、適合性評価の実施

 規格に基づく試験を行うには、テストプランの作成、テストプランに従った試験の実施が必要になります。実施された試験結果は試験レポートにまとめなければなりません。

規格要求を製品に適用し、合格していることを証明しなければなりませんので、予め製品の設計段階から考慮しておくことが重要になります。

また、EMC試験や低電圧指令の安全試験は、事前試験を行い、対策を施し最適化した状態で最終試験を行うのが良いと思います。

なぜならば、最終試験時に設計変更が生じてしまうと、部品手配や改造を行ってから再テストを行わなければならず、多大な時間や労力がかかってしまうからです。

当社では、大型機器から小型の電子機器などのEMC試験、安全試験を行っていますので、事前試験の実施や予め設計時から適合するための要素を盛り込んでおくコンサルサービスを行っておりますので、お気軽にご相談頂ければと思います。

 

5. 技術文書(Technical Construction File /Technical Documentation)の作成

 製品の技術文書の作成も要求されております。

技術文書とは、製品を構成する開発図面や取扱説明書(マニュアル)、テストプランやテストレポートなど、CEマーキングで要求される事項を盛り込んだ文書類にあたります。

これは、EU監視当局からの要請があれば速やかに提出する必要があるものですので、必ず作成しておきましょう。

特にフォームや項目などが決まっているわけではありませんが、CEマーキングの要求事項に対し、そのファイルを見ればわかるようになっていなければなりませんので、要求事項に対し、どのように対処しているのかがわかるようにしておく必要があります。

特に、ユーザー側に対する注意喚起などの文面には注意しておく必要があります。

取扱説明書(マニュアル)への記載事項に不備がある場合や、取扱いの注意事項などに不備がある場合は、指摘対象となることがありますので、注意しなければなりません。

当社では、技術文書の作成代行から、取扱説明書(マニュアル)の翻訳や指令・規格要求事項に対応しているかどうかをチェックし、追記しなければならないことがないかどうかを精査するサービスも行っております。

詳しくは、ご相談頂ければと思います。

 

6. EU適合宣言書の作成

 EU適合宣言書の作成は、該当指令に宣言書に記載されていなければならない事項が記載されています。これらの事項を盛り込み、EU適合宣言書を作成しなければなりません。

EU適合宣言書は製品出荷後10年が経過するまでは保管する義務があります。

 

7. CEマークの貼り付け表示

 最後にCEマークの貼り付けを行います。CEマークの表示は最小寸法が決まっております。

最小寸法は高さ5mm以上となっております。

基本的には、製品本体への貼り付け表示を行います。

貼り付けたCEマークのシールは簡単にはがれないようにしなければなりません。

もしも、製品本体の表面材質のために貼り付けが困難である場合や、製品本体サイズが小さく貼り付けができない場合などは、添付文書に載せることになります。

第一優先はユーザーになりますので、ユーザーが手に取ってすぐにわかるように明確な場所に貼り付けると良いでしょう。

また、EU指令への適合性を証明する表示マークですので、製造者によるLot番号やシリアル番号の自主管理も必要になります。

 

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

CEマーキングのとり方の流れを記載しましたが、製品によって詳細事項が決まってきます。

お困りごとがあれば、お気軽にご相談頂ければ幸いです。

 

関連ページ 「CEマーキング適合支援サービス」

 

CEマーキングのお問い合わせ

 

2019年11月05日