CEマーキングの技術文書(テクニカルファイル)とは?
CEマーキングでは、製品に該当する各指令により、技術文書(Technical Documentation)の作成が義務付けられています。
この技術文書とは、技術構造ファイルTCF (Technical Construction File)とも呼ばれていますが、TD (Technical Documentation)と同じものを指しています。
CEマーキングの技術文書は、製造者が作成するものになります。
技術文書の役割は、CEマーキングを行うための技術根拠をまとめた書類であり、設計や製造のどういったプロセスを経て、CEマーキングを行ったのかを示すための重要書類です。
欧州の市場監視当局から要求があった場合、速やかに提出できるようにしなければならないものですので、必ず作成しなければならない文書です。
技術文書(TD/TCF)は10年間保管しなければならない
技術文書は、製造後10年間は保管することが要求されています。
紙媒体のファイルではなく、電子データでもよいのですが、当局からの要請があった場合は、通常は2週間以内に提出しなければならないと言われており、要求に応じて速やかに提出できるように作成・保管しておく必要があります。
個々の設計データ、試験データ等は、電子データで社内管理されているから技術文書を作成していないというケースが見られますが、EU法令で技術文書にまとめなければならないとされているのにも関わらず、技術文書自体がないということが発覚した際は、その詳細まで精査されることになることでしょう。
技術文書ファイルは必ず、作成しなければならないものになりますのでご注意下さい。
技術文書の作成について
欧州では、2010年からNew Legislative Frameworkが施行され、市場監視が強化されております。
New Legislative Frameworkに伴い、CEマーキングに必要な各指令も改訂されており、市場監視の強化が進められております。
市場監視の強化とは、「市場監査ルールの改善、CEマーキングの乱用防止、安全性のない不適合製品を市場から回収すること」です。
CEマーキングは、EU域内の自由流通を保証するものになるものですので、CEマーキングを正しく行えているかどうか、そのプロセスを示すための技術文書になります。
CEマーキングへの適合証明を行うための重要な位置付けであることから、技術文書をただ単に作成すればよいわけではなく、その内容が非常に重要になってきます。
製品がCEマーキングに適合していることを証明するために、どの指令を適用し、各指令の必須要求事項に対してどのように適合しているのか、客観的な視点で第三者にわかるように構成しておかなければなりません。
技術文書の内容は、該当する各指令に記載されており、「製品概要、各種開発図面、適用指令や整合規格、リスクアセスメント・試験の実施、テストレポート等」をまとめた技術文書の作成が必要になります。
技術文書の維持管理
製品を廃型せず、長期に渡ってCEマーキング対応製品を生産していく場合、使用部品が廃型になる等の理由から、設計変更が生じることや、該当指令や規格が新しく改訂されていくケースがあります。
このような場合、技術文書の内容についても必要に応じて改訂していく必要があります。
CEマーキングとは、個々の製品に対し、求められるマークになりますので、継続生産する場合は、特に注意しなければなりません。
変更点に関するアセスメント評価などを含め、技術文書の継続的な維持管理を行っていくことが重要になります。
イーエムテクノロジーでは、製品毎に対応した各指令要求をカバーした技術文書作成について、業務サービスを行っております。
ご相談ごとがございましたら、お気軽にお問合せ頂ければと思います。