CEマーキングの自己宣言と認証 | 適合宣言の信頼性レベル
*この記事は、2025年01月06日に公開された記事です。
(注意)
この記事は、CEマーキングにおける自己宣言と認証の違いについて、一般的な情報を提供するものです。
各製品の適合性評価やCEマーキングのプロセスについては、必ず専門家や認証機関にご相談ください。
本記事の情報に基づいて行動した結果について、当社は一切の責任を負いかねますのでご了承ください。
CEマーキングは、製品の「製造者責任」を基に成り立つ欧州の製品安全に関する法的制度です。
法令違反となる場合、罰金、刑事罰、販売禁止、製品回収などの法的リスクがあります。
製造者は、製品安全に対し、製造者責任を負うため、自己宣言の場合でも、認証機関による認証を受けた場合でも、最終責任を負うことになります。
CEマーキングを行う上で、「自己宣言」と「認証」の2つの方法があります。
それぞれの方法には、適用範囲や条件が異なり、製品のリスクレベルに応じて適切な手法を選択する必要があります。
製品によって、「自己宣言」でよい場合と、「認証」が必要になる場合があります。
詳しくは、こちらをご覧ください。
参考記事にもあるとおり、比較的リスクの低い製品は、CEマーキングの各法令で扱われる「モジュールA(内部生産管理)」を適用することができます。
CEマーキングの適合証明にモジュールAを使用する場合、製造者自身で「自己宣言」することが可能です。
一方で、リスクが高い製品は、第三者認証機関による介入が必要になります。
第三者認証機関が介入することによるCEマーキングの適合証明は、モジュールA以外の「モジュールB~H」を適用することになります。
詳細は、上記の参考記事をご覧下さい。
CEマーキングの自己宣言の中でも、適合性に対して信頼性の高いものと低いものがあります。
対外的に信頼性が高い、低いという表現はふさわしくないかもしれませんが、一般的な考え方として受け止めて頂ければと思います。
今回は、自己宣言のレベルの違いについて、ご紹介したいと思います。
<コンテンツ一覧>
- 1. 「第一者(製造者のみ)の自己宣言」
- 2. 「第二者(製造者+ユーザー)による自己宣言」
- 3. 「第三者が関与する自己宣言」
- 4. CEマーキング適合支援サービスを行う業者の選定について
- 5. 自己宣言であるが、認証機関を利用する場合
- 6. 「認証」(自己宣言ではなく、認証機関による認証を受ける場合)
- 7. イーエムテクノロジーのサービス
1. 「第一者(製造者のみ)の自己宣言」
製造者のみによる自己宣言とは、第一者のみによる適合証明になります。
製造者が単独で行う適合証明です。
製造者のみによる自己宣言は、自社のみで最も簡単に行える適合証明である一方で、外部の独立した評価がないため、適合性に対する対外的な信頼性が低いとされる場合があります。
自社のみによる評価は、ただ単にCEマークを貼り付けているだけかもしれませんし、CEマーキング法令への適合性について、自社のみの勝手な判断や解釈で、適合と判断しているかもしれません。
事故が起こった場合や、EU当局から調査が入った場合、適切な内容を開示できるかどうか?が問われますので、ご注意下さい。
ポイント
2. 「第二者(製造者+ユーザー)による自己宣言」
次に、製造者とユーザーによる自己宣言は、第二者による適合証明です。
この方法は、特定ユーザー向けの製品に対して適用される方法になります。
多数のユーザーが想定できる製品には、第二者による適合証明は適用できないかもしれません。
第二者による適合証明とは、製造者とユーザー間で取り決めた安全仕様のみで、製造者が自己宣言を行うものとなります。
ユーザーの使い勝手と安全性の面で、安全性よりも使い勝手を重視してしまう傾向があるのではないか?という懸念が生じます。
製造者のみの自己宣言ではなく、ユーザーによる安全面の要求を考慮することで、前述の第一者の自己宣言よりは信頼性が高くなりますが、製造者(第一者)のみの自己宣言と同様に、CEマーキングの適合性について、勝手な判断や解釈が入ってくることも否定できません。
ポイント
ユーザーの使用条件を考慮できる点で一定の信頼性を持ちますが、以下の懸念があります:
3. 「第三者が関与する自己宣言」
第三者が介入する自己宣言は、自社とユーザーと第三者(一般的に安全性評価に詳しい専門家)による適合証明です。
自己宣言である以上、宣言を行うのは、製造者自身になりますが、第三者が介入することで、第二者による適合証明よりも信頼性が向上します。
製造者、ユーザー、第三者が介入するこの方法は、第三者が独立した評価を通じて適合性を裏付けるものとして扱われます。
第三者とは、一般的には安全性評価に携わる専門家になりますが、第三者認証機関、コンサルティング会社、一人親方の法人、個人事業主、仲介業者など、多くの技術サービス業者が当てはまります。
インターネット検索すると、多くのCEマーキング適合支援を行う技術サービスを行う会社がヒットしますが、その会社がどのような特徴を持っているのか?については、実際に打合せしてみないと見極めることが難しいかもしれません。
評価業務の流れやプロジェクトの管理、専門分野の評価担当者が担当してくれるのかどうか、体制、サポートなど、十分にヒアリングを行って、自社事情に合わせて選定すべきです。
ポイント
第三者が製品評価に絡むことで、第三者の独立した視点での製品の安全性評価により、特に通関などの輸出時の信頼性が向上します。
製品安全に一定の信頼性が得られますが、様々な業者が存在しますので、製造者にとってメリット/デメリットが生じます。
4. CEマーキング適合支援サービスを行う業者の選定について
CEマーキングの適合支援サービスを行う会社は、下記のように、多く存在しています。
多くの技術サービス会社が、事業としてCEマーキング適合のためのコンサルティングサービスを行っています。
適合性評価の品質、与信管理、コスト、業務キャパなどから、かかる費用や期間、評価内容(解釈の質など)についても、各社で違いがあります。
自己宣言を行う上で、どの程度の信頼性を確保したいのか?という自社の品質方針は、製造者責任を負う中で非常に重要なポイントになると思います。
インターネットの情報だけでは、その業者の特徴がわかりにくいので、実際にお打合せを行うことをお勧め致します。
イーエムテクノロジーは、コンサルティング会社の中でも、認証機関によるアドバイザー資格や、その他様々な専門分野の資格を持つ在籍スタッフたちが、CEマーキング適合のためのコンサルティングサービス、評価/試験まで一貫して技術コンサルティングサービスを行っております。
5. 自己宣言であるが、認証機関を利用する場合
認証機関による評価は、一般的に、ISO17020やISO17025認定を受けている第三者認証機関を指します。
自社製品が高リスクで「認証」が必要な場合は、認証機関に依頼する必要がありますが、低リスクで自己宣言が適用できる場合でも、希望すれば認証機関に評価を依頼することも可能です。
自己宣言を行う場合で、認証機関に規格評価のみを実施してもらう場合、規格適合性に対する評価を受けて、評価レポートのみを発行してもらう形になります。(規格評価を受けるのみで、「認証」ではありません。)
ISO17020やISO17025認定された第三者認証機関では、認証行為を行う上で独立性を持つ機関であり、その評価の公平性の面からも、コンサルティング行為が禁止されております。
認証機関は、規格に対する適合性の合否のみを判断するための評価機関であることから、アドバイスを与えるようなコンサルティング行為や、製造者が行うべき資料作成の代行などの行為は、固く禁じられております。
認証機関に評価を依頼した場合、評価レポートの他に、任意になりますが、CoC (Certificate Of Conformity)という「適合証明書」を出してもらうことも可能です。
CoCは、「認証書」ではありませんが、認証機関が製品の規格評価を行い、規格要求に適合しているということを証明するための書類として扱われます。
「適合証明書(CoC)」と「認証書」は異なるものですので、ご注意下さい。
製造者は、「適合証明書(CoC)」がある場合でも、製造者は自社責任のもとで、自己宣言を行わなければなりません。
また、この適合証明書に関して、欧州委員会からは、第三者認証機関や第三者評価会社が発行する「適合証明書」に対する警告も出されておりますので、注意が必要です。
詳しくは、次の記事をご覧ください。
参考記事「CEマーキングの自己宣言 (適合証明書の注意点)」
6. 「認証」(自己宣言ではなく、認証機関による認証を受ける場合)
「認証」を受けなければならない製品とは、基本的にリスクの高い製品になります。
「認証」は、自己宣言とは違い、認証機関による製品評価を受けて、認証機関が製品の適合性を認めることになります。
問題なく適合とされた場合は、認証機関から「認証証明書(Certificate)」という書類が発行されます。
認証機関のマークが製品に貼り付けられることが一般的です。
適合性に対する信頼性は一番高くなりますが、詳細まで確認することになりますので、比較的に評価時間や費用もかかることが想定されます。
また、何かしらの事故が起こった場合でも、認証機関による重大な見落としがない限り、製造者責任になることに変わりありませんので、ご了承ください。
7. イーエムテクノロジーのサービス
イーエムテクノロジーは、認証機関によるアドバイザー資格や様々な専門分野の資格を持つスタッフたちで構成されたCEマーキングのコンサルティング会社です。
イーエムテクノロジーでは、類似機などによる事前評価(プリチェック)、複数のエンジニアによる製品安全レビュー、リスクアセスメント、過去事例、各エビデンスの作成支援/事例、取扱説明書の作成/添削、規格の評価/試験、レポート作成、その他資料作成、EU適合宣言書の雛形作成など、一貫したCEマーキング適合のための技術サービスを行っております。
お客様の事情に合わせて必要な技術サービスを行うことも可能ですので、お気軽にお声がけ頂ければと思います。
CEマーキング自己宣言を行うお客様に対し、これまでに培った技術的経験、事例、ノウハウをお伝えしております。
また、これまでの業務実績を活かし、日々業務改善に取り組むとともに、専門ツールも充実させています。そのため、お客様のご要望に柔軟に対応し、高品質なCEマーキング適合サポートを提供できるよう努めております。
イーエムテクノロジーでは、お客様へご迷惑になるような営業電話等は一切行っておりませんので、ご相談ごとがございましたら、お気軽にお問い合わせ頂ければと思います。
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【イーエムテクノロジー株式会社 技術部】