EV用バッテリー生産設備のCEマーキング
EU向けEV用リチウムイオンバッテリー製造に関連する電気・機械装置では、CEマーキングが必要となります。
EV用リチウムイオン電池を生成するために必要となる粉体機械や流体を扱う機械など、様々な機械装置に対し、安全性が求められています。
EUでは、CEマーキングをはじめとする製品安全に関する法律により、EU内の製品ユーザーの健康や財産に対するリスクを低減する仕組みが構築されています。
例えば、EV用バッテリーの充放電装置では、低電圧指令(2014/35/EU)やEMC指令(2014/30/EU)が適用され、粉体・流体を扱う機械設備、可動部を持つ機械製品では機械指令(2006/42/EC)が適用されます。
また、バッテリーの正極や負極となる材料を加工する化学工場の場合、プラントの機能安全(EN61511シリーズ)を行い、安全度水準SILに関する評価に対しても、考慮しておかなければなりません。
このように、製品毎に専門性の高い安全規格が制定されておりますので、バッテリーセルの製造工程に使用される設備には、様々な安全規格への適合が必要になります。
粉体機械のCEマーキング
バッテリーの正極、負極材となる粉体材料を加工する粉体機械を例に、CEマーキングについてご説明していきたいと思います。
リチウムイオン電池の原料となるコバルト、ニッケル、マンガン、リン酸鉄、カーボンなどを生成するための粉砕機、ホッパー、バルブ、ミキサーなどの粉体機械は、主に機械指令に該当します。
また圧力が加わることを意図している配管やタンクなどについては、圧力機器指令(2014/68/EU)に対する確認も行わなければなりません。
最終的には、プラント全体でCEマーキングに対する適合性評価を行う必要がありますが、これらプラントを構成する一つ一つの個別機械においても、各構成部品メーカーはCEマーキング適合について評価を行う必要があります。
このような最初から何らかの最終製品に組み込まれる構成部品は、機械指令の中でも「組込み宣言」という適合宣言を用いてCEマーキング適合を行うことが一般的です。
組込み宣言に関しては、以下の関連記事をご覧ください。
他のEU指令でも共通していますが、機械指令ではリスクアセスメントが要求されます。
特に粉体や流体を取り扱う上で、どのように人が介在するのか?自動化されている場合は、安全回路に信頼性があるのか?といった視点でリスクアセスメントを行っていきます。
また、最終的に組み込まれるプラントで機能安全を考えることにもなりますので、機能安全のSILに対しても考慮しておかなければなりません。
機械指令では、リスクアセスメントをトップ階層に置き、リスクがある部分に対してインターロックなどの措置をとっていくことになります。
機械指令では、機械的な危険に対して、個別規格が存在する場合には、個別規格を採用し、機械的な危険等がないか、規格に適合するような機械構造となっているかどうかを確認していくことになります。
さらに、電気部品を扱う製品の場合は、電気安全に関する規格適合についても確認します。
機械の電気安全規格では、一般的にEN60204-1という規格を採用し、確認していきます。
EN60204-1では、電気構造の評価と電気試験によるテストが要求されます。
また、機械指令や電気安全規格EN60204-1でも要求されますが、EMC指令への適合についても評価を行っていきます。
EMC指令への適合性評価は、EMC試験を実施してその試験結果をエビデンスとします。
このように、機械指令では、主に機械的構造、電気的構造、電気試験、EMC試験ということが要求されます。
弊社では、このようなEV用バッテリー材料の生産プラントや、粉体や流体を扱う機械、その他関連設備にかかる多くのCEマーキングの実績がございますので、是非ご相談頂ければと思います。
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