EV用バッテリーの生産プラントの機能安全、CEマーク
電気自動車(EV: Electric Vehicle)用、産業用として使用されるリチウムイオンバッテリー生産ライン、化学プラントで用いられる欧州CEマーキングや、化学プラントで必要な安全性についてご紹介致します。
ヨーロッパでは、CO2排出規制の政策が打ち出され、ガソリン車やディーゼル車からEVへのシフトが積極的に行われております。
多くの日本メーカーからも、CEマーキング対応したバッテリーの充放電検査装置や生産機械などのバッテリー生産用のプラント設備が輸出されています。
EV用リチウムイオン電池の生産ライン、化学プラントでは、多くの機械装置を組み合わせて、一つの生産ラインを構築しています。
システムインテグレーター(以下、SIという)は、生産ラインを設計する段階から個々の機械に対し、CEマーキング適合(組込み宣言or 適合宣言)を要求し、最終的には、それらCEマーキング適合機械を組み合わせて、生産ラインとしての安全設計を行う必要があります。
機能安全規格 IEC61511を用いたプラント設計
機能安全規格IEC61508シリーズは、電気・電子・プログラマブル電子(以下、E/E/PEという)安全関連系の機能安全を定めた規格です。
IEC61508という規格は、機械装置の安全回路をE/E/PE安全関連系に委ねて安全を確保するという機能安全に対する要求を定めたもので、様々な製品に該当する規格になります。
今回のテーマであるEV用バッテリープラントにも適用することができますが、より適切な規格として、プロセス産業分野の安全計装システムIEC61511シリーズの規格を使います。
IEC61511は、プラントの材料生成プロセスで必要となる安全機能を安全計装システムで制御する際、その安全計装機能(SIF)を実行するために必要な安全度水準(SIL)を満足する安全設計要求を定めたものです。
プラント設計に携わるSIは、バッテリープラントの安全を考えるためのセーフティコンセプトを作成し、潜在的な危険事象を含めたリスク分析/評価を行い、必要なSILを定め、それを満足するための安全設計、妥当性確認、保守などを考慮していかなければなりません。
このように、プロセス制御の安全計装システムを扱うIEC61511では、下図のように安全ライフサイクル要求事項が定められております。
個々の機械に要求されるリスクアセスメント規格「ISO12100」
欧州CEマーキングの機械指令では、プラントを構成する個々の機械に対してもリスクアセスメントが要求されています。
通常、個別の機械に対する機械安全のリスクアセスメントとしては、「ISO12100機械類の安全性−設計のための一般原則− リスクアセスメント及びリスク低減」を適用し、リスクアセスメントを行います。
この規格は、個々の機械に対して、運搬、機械の据付け、運転、点検口の保守などの製品ライフサイクルを通してリスクアセスメントを行います。
その結果、抽出されたリスクに対して、3ステップメソッドを用いてリスク低減を行っていきます。
この時、インターロックスイッチ等を使っている場合は、その安全回路は「ISO13849-1制御システムの安全関連部」に従って、パフォーマンスレベル(PL)の評価を行わなければなりません。
生産ラインに使用される規格 「ISO11161統合生産システム(IMS)」とは？
また、生産ラインを取り扱う関連規格として、機械安全規格「ISO11161統合生産システム(IMS)」があります。
この規格は、IMSにおけるタスクゾーンや機械同士のつなぎ目、オペレーター等の介入を考慮したリスクアセスメントの実施とリスク低減などについて規定されています。
先ほどのプロセス制御の安全計装システムの機能安全IEC61511とは別に、個々の機械同士をつなぎ合わせた場合の安全性について考えていくもので、この規格を使う大きな目的の一つは、機械同士のつながりに対し、リスクアセスメントを行うということです。
例えば、生産ラインに非常停止ボタンを設ける場合、どこに設置すべきか？どの範囲まで止めるのか？メンテナンスはどのように運用するのか？適切なアクセス手段が考慮されているのか？などを決めていかなくてはなりません。
イーエムテクノロジーでは、EV用バッテリープラント等のプロセス制御で求められる安全計装機能に関する機能安全規格IEC61511シリーズや機械安全で要求されるリスクアセスメントISO12100、生産ラインに適用される統合生産システム(IMS)規格ISO11161、その他個別規格、制御システムの安全関連系ISO13849-1/-2に対する技術コンサルティングサービスを行っております。
安全に関する技術アドバイザーとして、貴社のお役に立てるように当社技術者が安全に関するプロジェクトを進めて参ります。
お気軽にご相談頂ければと思います。
