ISO13849-1 安全回路の設計

ISO13849-1 安全回路の設計

 

ISO13849-1に適合した安全回路

 機械指令(2006/42/EC)では、ISO12100に基づく機械安全に対するリスクアセスメントが要求されております。

リスクアセスメントを実施した結果、危険源に対するリスク低減として、例えば、インターロックスイッチの開閉を起点に危険源の停止を行うように電気回路による制御で止めに行くように設計した場合は、その安全回路自体に信頼性があり、きちんと働くものであるということを検証しなければなりません。

この要求は、非常停止回路にも適用されます。

安全回路では、非常停止ボタンを押したのに装置が止まらない、インターロックスイッチが働かない、コンタクタ接点が開かないといったことがあってはならないのです。

 

ISO13849-1/-2 制御システムの安全関連部

 制御システムの安全関連部ISO13849は、ISO13849-1「設計のための一般原則」とISO13849-2「妥当性確認」の2つに分かれています。

 

ISO13849-1では、安全回路の設計、安全機能、安全回路のアーキテクチャー、安全部品、安全回路のパフォーマンスレベルPL計算などについて、定められております。

ISO13849-2では、-1で設計された安全回路が妥当であるのかどうかについて、その確認方法、それを選んだ根拠など、安全回路の解析/試験について定められております。

 

安全回路は、設計時に行われるべきであり、リスクアセスメントに沿って実施されたものでなければなりません。

 

まず、リスクアセスメントでは、危険源に対するリスクが高いのか、低いのかというリスクの見積もりを行います。

例えば、高リスクであると見積もられた危険源に対する安全回路が、汎用リミットスイッチの開閉信号を汎用PLCに入力し、PLC出力からコンタクタの接点を開くように構築している場合を考えます。

この場合、リミットスイッチ内部接点機構が故障する、PLCが暴走する、コンタクタ接点が溶着していて開路しないといったことが起こった場合は安全に機械を停止することができません。

このようなことが起こらないように設計段階で安全回路が確実に働き、安全に停止することができるように設計することが求められています。

 

リスクアセスメントと必要とされる安全回路の関係

 リスクアセスメントでは、見積もられた危険源に対し、どのようにリスク低減を図るのか?について考慮しなければなりません。

その際、物理的ガードで防ぐことができるのであれば安全回路は必要ありませんが、例えば、ヒンジ式のドアを使って危険源へのアクセスをガードしていた場合では、ドアを開けば簡単に危険源にアクセスすることができてしまいます。

このような場合、ドアにインターロックスイッチを設け、ドアが開いた場合は危険源の動力を遮断する等のリスク低減対策を取らなければなりません。

ISO12100では、3ステップメソッドによるリスク低減方法が規定されており、インターロックによるリスク低減はステップ2の「安全防護策」、非常停止ボタンによるリスク低減は「付加保護方策」になります。

このように、電気回路によるリスク低減を行う場合は、ISO13849-1/-2による要求を満たさなければならないということになります。

 

安全回路の評価 要求されるパフォーマンスレベル(PLr)

 ISO13849-1でも記載されておりますが、リスクアセスメントでリスクを見積もる際、検討された危険源に対し、危害のひどさ、危険源に曝される頻度、危険を回避できるか否かによって、要求されるパフォーマンスレベル(PLr)が決定されます。

PLrは、a~eまで、5段階あります。

PLr=aが一番リスクも低いということで、安全回路への信頼性も低いものでも安全を達成できると解釈することができます。

PLr=eになるとリスクも一番高いということになり、安全回路への信頼性についても最高レベルのものが要求されます。

このように、要求されるPLrに対して、安全回路もPLrを満たすように構築しているのであれば、その見積もったリスクに対する、安全回路が十分に考慮されていると言うことができます。

PL計算を行うためには、構築する回路構成や使用する安全部品のパラメーターが必要となります。

 

イーエムテクノロジーでは、ISO13849-1、ISO13849-2におけるPL評価サービスを行っております。

PL評価ソフト「SISTEMA」を使用したPL計算、ISO13849-2における妥当性確認評価、評価レポートの作成などの技術コンサルティングサービスを行っておりますので、安全回路の構築等でご相談ごとがございましたら、お気軽にお問合せ頂ければと思います。

 

関連ページ「EN60204-1 機械の電気試験 適合支援サービス」

関連ページ「機械指令(2006/42/EC)」

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2021年04月03日