機械指令(2006/42/EC)から機械規則(2023/1230/EU)へ

機械指令(2006/42/EC)から機械規則(2023/1230/EU)へ

 

機械指令(2006/42/EC)から機械規則(2023/1230/EU)へ

*この記事は、2023年07月07日更新されました。

2023年6月29日にEU官報で機械規則(2023/1230/EU)が掲載されました。

移行期間は、3年半(42カ月)が設けられ、2027年1月14日が完全移行日になっております。

その日までに、欧州CEマーキングの機械指令(2006/42/EC)は、機械規則(2023/1230/EU)へと移行しなければなりません。

今回は、機械指令(2006/42/EC)から機械規則(2023/1230/EU)への移行について、ご紹介したいと思います。

機械規則(2023/1230/EU)の原文については、下記からダウンロードをお願い致します。 

機械規則(2023/1230/EU)原文はこちらから

 

<コンテンツ一覧>

 

1. 機械規則(2023/1230/EU)への移行スケジュール

機械規則(2023/1230/EU)が発行されましたが、今すぐに機械規則への対応が必要になるわけではありません。

欧州官報に掲載されてから20日後に発効となり、機械規則(2023/1230/EU)が有効になります。

移行期間は、42カ月(3年半)が設けられ、完全移行日は、2027年1月14日となっておりますので、その間に対応しなければならないことになります。

移行期間を過ぎると、同時に機械指令(2006/42/EC)は、失効という扱いになりますので、評価レポートや適合宣言書などについては、見直して頂く必要があるかと思います。

今回の機械規則(2023/1230/EU)の第54条「発効と適用」という移行期間の規定では、条項によって適用開始日が割り当てられているという珍しい措置が取られていますので、ご紹介致します。

 

第54条「発効と適用」

第54条「発効と適用」の条文では、以下のとおり記載されております。

本規則は、EU官報に掲載されてから 20日目に発効するものとする。

2027年1月14日から適用される。

ただし、次の条項は、次の日から適用するものとする。

  • (a) 第26条から第42条は、2024年1月14日以降
  • (b) 第50条(1)は、2023年10月14日以降
  • (c) 第6条(7)、第48条および第52条は、2023年7月13日以降
  • (d) 第6条(2)から(6)、(8)、(11)、および第47条と第53条(3)は、2024年7月14日以降

本規則はその全体を拘束し、すべての加盟国に直接適用される。

 

対応しなければならないこと、詳細内容については、お客様毎に確認していく必要があると思いますので、お気軽にご相談頂ければと思います。

 

2. 機械規則(2023/1230/EU)への移行の背景

機械指令(2006/42/EC)は、2009年12月29日以降、旧機械指令(98/37/EC)に代わり、運用されておりますが、現代技術に対してふさわしくないことや、市場監視のばらつき、グレーな部分、不都合な部分など、様々な問題点に対して対処できない状況です。

例えば、機械指令(2006/42/EC)では、カバーできていない人工知能 AI(Artificial Inteligence)やサイバーセキュリティへの対応、インターネット販売など、多くの問題に対処するために、機械指令(2006/42/EC)を改定し、機械規則(2023/1230/EU)にそれらの問題点に対する措置を盛り込むことで、新しい技術が現代の機械製品にもたらす新たなリスクや課題に安全に対処できるようになります。

機械規則は、大型の建設機械から産業生産ライン全体に至るまで、消費者向け機械製品、産業機械、およびロボットや製造用3Dプリンターなどの高度にデジタル化された製品を対象としています。

 

3. 指令から規則へ

指令(Directive)から規則(Regulation)への変更についても触れておきたいと思います。

EU法令の中で、指令(Directive)という位置付けにある法令は、EU委員会が発効した指令を受けて、EU加盟各国が自国の法律に置き換えて運用するというものです。

指令とは、EU加盟各国の事情を考慮して制定されており、裁量を持たせた法令の運用方法が特徴的です。

しかし、今回新たに発効されたのは、規則です。

規則(Regulation)になると、すべての加盟国、すべての法人、個人に直接法的効力を持つようになり、EU域内で共通の法律が課されることを意味します。

機械規則が適用されることで、今まで国によって違った基準で扱われていた市場監視の基準が統一されるなど、より一層に厳しいものになるものと想定できます。

製造者に直接的な影響がない場合でも、市場監視に対する取り組みが強化されることになると、CEマーキングへの適合性評価や必要な試験を行なっていない、その他文書の不備などがあるとなると、厳しく罰せられる可能性があります。

また、インターネットの普及によるECサイトを通じての取引き、人工知能AIの活用、産業サイバーセキュリティの重要性など、現代技術に適応するための法律であるということも規則への変更として挙げられるかと思います。

 

4. イーエムテクノロジーのサービス

機械規則(2023/1230/EU)への完全切り替えは、2027年1月14日になりますが、イーエムテクノロジーでは、今回発効された「機械規則(2023/1230/EU)」に対応できるように、様々な技術コンサルティングサービスを行っております。

機械指令(2006/42/EC)と機械規則(2023/1230/EU)とで何がどのように変っているのか?変更された内容の解説やその背景、製造者が行わなければならない対応など、関連資料と共に、お客様にわかりやすくご説明するサービスも行っております。

機械指令(2006/42/EC)から機械規則(2023/1230/EU)への変更点の資料と技術コンサルティングの例

また、機械規則(2023/1230/EU)への切り替えのための製品評価、レポート作成などについてもご相談頂ければと思います。

機械規則(2023/1230/EU)に対するリスクアセスメント、プリチェック(事前構造評価、EMC実力試験)、CEマーキング適合性評価、電気試験、EMC試験、各種レポートの作成、取扱説明書の作成、TCF作成など、一連の技術サービスを取り揃えております。

お客様の製品、状況、ご要望に応じて最適なご提案をさせて頂きますので、お気軽にご相談下さい。

 

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