産業機械は、RoHS指令(2011/65/EU)の適用対象になるのか?

産業機械は、RoHS指令(2011/65/EU)の適用対象になるのか?

産業機械は、RoHS指令(2011/65/EU)の適用対象になるのか?

*この記事は、2025年03月10日に公開された記事です。

RoHS (Restriction of Hazardous Substances)指令(2011/65/EU)は、特定の有害物質の使用を制限する欧州連合(EU)の環境規制です。

産業機械に使用されている電子機器も多く、お客様から、これらの電子機器が組み込まれた機械製品も対象になりますか?というお問合せを頂きます。

今回は、産業機械もRoHS指令(2011/65/EU)の対象になるのかどうか?について、ご紹介したいと思います。

 

<コンテンツ一覧>

 

1. RoHS指令(2011/65/EU)とは?

現在のRoHS指令(2011/65/EU)は、2011年に改訂されたもので、「RoHS2」とも呼ばれております。

RoHS指令は、電気/電子機器に含まれる特定有害物質の使用を制限し、環境保護と人の健康保護を目的として制定されたEU法令です。

CEマーキングの法令の一つとしても挙げられるため、幅広い製品が対象になります。

携帯電話、コンピューター、キッチン家電などの電気・電子製品の生産と使用が増えるにつれ、廃棄される電気・電子機器の量も増加しています。

これらの廃棄物の処理や廃棄の過程で、鉛、水銀、カドミウムなどの有害物質が製品から放出され、環境や健康に悪影響を及ぼす可能性があります。

この問題に対応するため、EUでは、RoHS指令により電気・電子機器に含まれる有害物質の使用を制限しています。

また、WEEE指令では、こうした機器の回収とリサイクルを推進しています。

 

2. 産業機械もRoHS指令の対象になる?

産業機械もRoHS指令(2011/65/EU)の適用対象になるのかどうかについては、RoHS指令(2011/65/EU)の原文で確認する必要があります。

第2条「適用範囲」では、付属書Ⅰに挙げられる電子・電気機器(EEE)が対象になると記載されております。

 

2-1. RoHS指令(2011/65/EU)の対象になる電子・電気機器(EEE)

付属書Ⅰには、以下11項目が挙げられており、これに該当する電子・電気機器(EEE)はRoHS指令(2011/65/EU)の対象になります。

  1. 大型家電製品
  2. 小型家電製品
  3. 情報技術及び通信機器
  4. 民生用機器
  5. 照明機器
  6. 電動工具
  7. 娯楽およびスポーツ用機器
  8. 医療機器
  9. 監視および制御装置
  10. 自動販売機
  11. 上記のいずれのカテゴリーにも該当しないその他の EEE

この中で、11番目の「上記のいずれのカテゴリーにも該当しないその他のEEE」というのが、明確に規定されていないために、自社製品が対象になるのかどうか?でお悩みになっている方が多いのではないかと思います。

 

2-2. RoHS指令(2011/65/EU)の対象外になる製品

また、第2条4項では、RoHS指令(2011/65/EU)の対象外になる製品についても挙げられております。

第2条4項に挙げられている製品とは、以下になります。

  • (a) 加盟国の安全保障の重要な利益を保護するために必要な機器(特に軍事目的の武器、弾薬、軍需品を含む)
  • (b) 宇宙用途に設計された機器
  • (c) 除外されているか本指令の範囲に含まれない別の種類の機器の一部として特別に設計され、設置される機器で、その機器の一部である場合に限りその機能を果たすことができ、同じ特別に設計された機器によってのみ交換できるもの
  • (d) 大型固定式産業用ツール
  • (e) 大型固定設備
  • (f) 型式承認されていない電動二輪車を除く、人または物品の輸送手段
  • (g) 専門家向けに提供される非道路移動機械
  • (h) 能動埋め込み型医療機器
  • (i) 公共、商業、産業、住宅用途で太陽光からエネルギーを生成するために、特定場所で恒久的に使用するために専門家によって設計、組み立て、設置されたシステムで使用することを意図した太陽光発電パネル
  • (j) 研究開発のみを目的として特別に設計された企業間取引でのみ提供される機器

産業機械は、小さいものから大きなものまで様々なサイズ、重量の機械がございますが、この除外対象に該当する場合は、RoHS指令(2011/65/EU)は非該当として扱うことができます。

 

3. RoHS指令(2011/65/EU)の除外対象になる産業機械について

いずれかの理由で、RoHS指令(2011/65/EU)の対象外になる製品については、その根拠を技術文書にまとめておく必要があります。

これは、製造業者、輸入業者、または関係するその他の経済事業者は、除外の恩恵を受けるかどうかについて、評価する責任があるとされているからです。

立証の責任は、責任ある経済事業者にあるとされているからには、製造者として何らかの根拠を持った形で文書に残しておくことが必要です。

これらの適用除外に至る技術的根拠は、CEマーキングの技術文書の一つとしても重要になります。

 

4. イーエムテクノロジーのサービス

イーエムテクノロジーでは、お客様の産業機械がRoHS指令(2011/65/EU)の除外対象になるかどうかを個別に調査し、技術文書にまとめる技術サービスも行っております。

産業機械のCEマーキングを行う上で、RoHS指令(2011/65/EU)の対象になるのかどうか?対象外にする場合の技術文書を作成したいなどのご相談ごとがございましたら、お気軽にお声がけ頂ければと思います。

イーエムテクノロジーでは、お客様へご迷惑になるような営業電話等は一切行っておりませんので、ご相談ごとがございましたら、お気軽にお問い合わせ頂ければと思います。

 

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【イーエムテクノロジー株式会社 技術部】

 

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