産業機械のEMC試験 EN55011 ISM(工業、科学、医療用)機器
*この記事は、2023年06月14日に公開された記事です。
今回は、産業機械のEMC試験規格で用いられることが多い「EN55011 工業、科学及び医療用装置からの妨害波の許容値及び測定法」についてご紹介します。
EN55011は、国際規格CISPR11を基に、欧州EN規格として採用されています。
欧州だけでなく、日本を含め、各国でCISPR11をベースに国内規格として取り入れられており、世界各国でもメジャーなEMC規格です。
EN55011は、ISM(Industrial、Scientific、Medical)機器に対するエミッション測定について定められた製品群規格になります。
<コンテンツ一覧>
1. 産業機械のエミッション測定
EN55011は、産業用機械製品(ISM機器)のEMC試験で、適用されることが多く、幅広い製品のEMI測定についてカバーされた規格です。
0Hz~400GHzの周波数範囲で動作するISM機器、意図的周波数を扱う機器に対して適用され、9kHz~18GHzの周波数範囲の無線周波妨害波のエミッション要求について規定されたものになります。
EN55011では、ISM装置の分類としてグループ分け、クラス分けがあり、グループとそのクラスによって適用される限度値が異なります。
グループ区分は、グループ1、グループ2に分けられ、クラス分類は、クラスA、クラスBに分類されています。
グループ区分 (グループ1)
本規格の適用範囲内でグループ2装置として区分されないすべての装置を含む。
付属書Aにはその例として、一般用途の試験装置、医療用電気装置、科学装置、半導体電力変換装置、動作周波数が9kHz以下の工業用加熱装置、機械工具、工業プロセス測定制御装置、半導体製造装置と記載されています。
詳細:信号発生器、測定用受信機、周波数カウンタ、流量計、スペクトラムアナライザ、質量計、化学分析機器、電子顕微鏡、スイッチング電源及び半導体電力変換装置(装置に内蔵されていない場合)、半導体整流器/インバータ、半導体 AC 電力コントローラ内蔵抵抗加熱装置、アーク炉及び金属溶融炉、プラズマ・グロー放電ヒータ、X線診断装置、コンピュータ化断層撮影装置、患者監視装置、超音波診断・治療装置、工業用超音波洗浄機を除く超音波洗浄機、定格電流が1相当り 25 A を超える、半導体デバイスを内蔵する制御装置及びそれを組み込んだ装置。
グループ区分 (グループ2)
材料の処理、検査または分析の目的で電磁放射、誘導性結合及び/または容量性結合の形で周波数範囲9kHz~400GHzの無線周波数エネルギーを意図的に発生して使用、または使用のみを行うすべてのISM RF装置を含む。
付属書Aにはその例として、マイクロ波給電UV照射機器、マイクロ波照明機器、動作周波数9kHzを超える工業用誘導加熱装置、家庭用誘導加熱調理器、誘電加熱装置、工業用マイクロ波加熱装置、家庭用電子レンジ、医療用電気装置、電気溶接装置、放電加工装置、教育訓練のための実演模型と記載されています。
詳細:金属溶解、ビレット加熱、素子加熱、溶接及び蝋付け、アーク溶接、アークスタッド溶接、抵抗溶接、スポット溶接、管溶接、木材接着、プラスチック溶接、プラスチック予熱、食品加工、ビスケット焼き、食品解凍、紙乾燥、繊維処理、接着、材料予熱、超短波治療装置、マイクロ波治療装置、磁気共振造影(MRI)、医療用高周波殺菌装置、高周波外科装置、結晶精製装置、高電圧テスラトランス・ベルト発生器などの実演模型、工業用高周波放電励起方式レーザー発生装置、工業用超音波機器。
クラス分類 (クラスA)
クラスA装置は、家庭用の施設及び住居用に使用する目的の建造物に給電する低電圧電力系統に直接接続する施設以外のすべての施設での使用に適した装置。
クラス A 装置は、クラスAの許容値を満足すること。
(クラス A 装置は工業用環境での使用を意図している。使用者向けの資料の中に、伝導性妨害と放射性妨害のために他の環境の中での電磁環境の両立性を保証するには潜在的な困難さがあるかもしれない事実への注意喚起の記述を含めなければならない。)
クラス分類 (クラスB)
クラスB装置は、家庭用の施設及び住居用に使用する目的の建造物に給電する低電圧電力系統に直接接続する施設での使用に適した装置。
クラスB装置は、クラスBの許容値を満足すること。
2. EN55011 エミッション測定
ISM機器のエミッション測定は、主に伝導性エミッション測定と放射性エミッション測定になります。
伝導性エミッション測定では、主に電源端子妨害波電圧に対して規制されており、電源線を伝い流出する伝導性ノイズが規定値を超えていないかどうか?について測定を行います。
放射性エミッション測定では、機械装置から空間を伝搬する電磁ノイズが規定値を超えていないかどうか?について測定を行います。
EN55011では、限度値だけでなく、測定器や条件などについても規定されており、製品によって考慮しなければならない注意事項が多くございます。
規格内容に精通した測定/技術エンジニアに相談しながら確認していくことをお勧め致します。
また、ノイズ対策についても、設計段階から考慮しておかなければなりません。
3. イーエムテクノロジーのサービス
イーエムテクノロジーでは、EN55011の測定、レポート作成、ノイズ対策設計などの技術サービスを行っております。
技術的なご相談ごとについては、専門知識、豊富な実務経験を持つ自社在籍の測定エンジニア、ノイズ対策技術エンジニアが対応しております。
また、測定機材一式を複数セットで保有しておりますので、お客様のご都合に合わせたスケジュールで、測定を行うことが可能です。
イーエムテクノロジーでは、お客様のご要望に沿うように業務を進めることが可能です。
ご相談、お見積りは無料ですので、お気軽にご連絡頂ければと思います。
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【イーエムテクノロジー株式会社 技術部】