CEマークで必要とされるEMC試験とは?
CEマーキングの適合支援サービスを行っておりますイーエムテクノロジーです。
今回は、CEマークで要求されるEMC試験についてご紹介していきたいと思います。
欧州に出荷する製品に義務付けられているCEマーキングでは、欧州EUが定めた法律に適合することが求められます。
その法令の一つとして、EMC指令(2014/30/EU)というものがあり、電磁波を発する、あるいは電磁波の影響を受ける製品は、このEMC指令に適合することが義務付けられています。
また、欧州に出荷しなくても、ユーザー仕様として客先からCEマーキングの適合を要求されることもあります。
EMC試験について
EMC試験のことをお話する前に、「なぜEMC試験を実施しなければならないのか」について説明しておきます。
まず、その製品がEU法令に従って、EMC指令(2014/30/EU)の対象になるのかどうかを調べるところからスタートします。
EMC指令(2014/30/EU)の適合証明
EMC指令(2014/30/EU)の対象となる製品については、EMC指令の要求を満たしていることを証明する必要があります。
一般的な適合証明の方法としましては、EU官報で公表されているEMCの整合規格を使って証明していくことになります。
EUのホームページでは、EU官報に掲載されたEMCの整合規格が掲載されております。
詳しくはこちらよりご覧ください。
整合規格リストの中から、製品によりふさわしい規格を選定しなければなりません。
そして選定した整合規格を適用して、EMC試験を行っていく流れになります。
EMC試験では、製品から発する電磁波が最大となるように、また、電磁波の影響をより敏感に受ける状態を模索し、ワーストケースを考慮して試験を実施しなければなりません。
製品によっては製品の型式種別により、複数の仕様が選べる場合もあり、ワーストケースの考え方、動作状態の選定方法などの技術的側面は、EMC技術文書としてまとめ、文書化しておかなければなりません。
この技術文書は、TCF(Technical Construction File) / TD(Technical Documentation)と呼ばれ、指令の中で義務付けられているものですので、EMC試験は行っていても、製品の技術文書がない場合は、ペナルティを受けることになりますのでご注意下さい。
EMC指令は、自己宣言を認めておりますが、その証拠となる技術根拠は、規格の選定からワーストケースの選定などのEMCリスクを含めたEMC技術文書、EMCテストプランの作成、EMC試験の実施、EMCテストレポートにより、証明されるものとなります。
EMC試験について
EMC試験とは、「製品から出ている電磁波を規制する」、「製品が電磁波干渉を受けないかどうか」という電磁両立性をみる試験です。
製品から出ているノイズや電磁波のを規制は「エミッション(EMI)」、逆に製品にノイズを印加したときに誤動作しないかどうかを確認する「イミュニティ(EMS)」に分けられます。
これら2つをまとめて「EMC試験」と言っています。
エミッション(EMI)、イミュニティ(EMS)の試験項目は下記に挙げるようなものになります。
「エミッション(EMI)」
・放射電磁界強度測定
・伝導エミッション測定
「イミュニティ(EMS)」
・静電気放電試験
・放射イミュニティ試験
・ファースト・トランジェント/バースト試験
・雷サージ試験
・伝導イミュニティ試験
・電源周波数磁界試験
・電圧ディップ・瞬停試験
大型製品は「現場EMC試験」で行う
重量がある、物理的に大きい、動作させるために特殊な周辺装置が必要である、などの産業用機械、生産設備などの大型製品では、製造者の製造工場等で行う「現場(オンサイト)EMC試験」を適用することができます。
現場EMC試験の詳細はこちら「出張EMC試験(オンサイト)サービス」をご覧下さい。
小型製品は、こちら「EMC指令(2014/30/EU)適合支援サービス」をご覧下さい。
EMC試験はどこで実施するのか?
これらの試験をクリアしてはじめて、EMC試験に合格したことを証明できるのです。
では、CEマーキングで要求されるEMC試験を行う場合、一体どのようにすればよいのでしょうか。
多くの方が誤解されているのですが、CEマーキングのEMC試験は、自己宣言という形態を採っていることから、必ずしもISO/IEC17025認定を受けたEMC試験所で実施する必要はありません。
もちろん、ISO/IEC17025認定試験所でEMC試験を行うことがベストな選択ですが、県の工業試験所や自社保有の試験所でも問題ありません。
しかし、不確かさや、測定システムの補正、試験器の校正など、EMC試験の結果に影響しないよう、十分に知識のある試験者が試験を行う必要があります。
EMC試験でNGになったらどうするの?
EMC試験に一発合格できれば問題ありませんが、何も考慮されずに設計された製品ではNGとなることが多いのがEMC試験の難点です。
もし、NGとなれば再試験を行わなければならず、設計変更にかかる費用や期間を考えると、設計段階で十分にEMC設計を盛り込んでおくことが非常に重要になってきます。
また、試作機ができた時点でEMC試験を実施するのではなく、まずは事前EMC試験を行い、実力テストとノイズ対策の最適化を行っておくことをお勧めします。
いきなり本試験を実施するよりも事前にノイズ対策の最適化が必要でないか、検証を行っておくことでスムーズに試験に合格することができます。
イーエムテクノロジーでは、EMC試験についてお客様のご要望に沿ったサービスを展開しております。
EMC試験の事前確認、対策検証、試験所の予約など、EMCのことなら何でも当社までご相談下さい。
ISO/IEC17025認定試験所は、依頼者へのコンサルティング行為を禁止されている
これもあまり知られていませんが、ISO/IEC17025試験所プログラムで認定された第三者認定試験所は、コンサルティング行為を行うことを禁止されています。
ですので、認定試験所ではNGとなった場合の対策についてはコメントできないことになっております。
本来、このような第三者認証機関とは中立的な立場で試験結果の合否のみを判定しなければならない独立機関であるため、試験依頼者であるメーカーに肩入れをするような行為は禁止されているからです。
ISO/IEC 17025:2017が、2017年11月に発行されましたが、この2017年版ではコンサルティング行為の禁止をより強く強調され、要求しており、試験所は試験のみを実施することが求められております。
このような理由があるため、試験所は、具体的なアドバイスを行うことはできません。
試験所は試験結果がOKか、NGかの判断のみを行うところであり、規格を適合させるための助言等は行ってはいけないことになっております。
ノイズ対策でお困りごとがございましたら、是非一度当社までご相談頂ければ幸いです。
適合するための技術コンサルティングを利用する
CEマーキングを進めるにあたり、EMC試験だけでなく製品安全、技術文書の作成、取説への記載事項の追記、翻訳など様々なことが必要となります。
EMC試験、ノイズ対策等を含め、スムーズにCEマークに適合するためには当社コンサルティングサービスをご利用下さい。