イギリスのCEマーキング EU離脱でどうなる?

イギリスのEU離脱でどうなるの?CEマーキング

英国(イギリス)のEU離脱におけるCEマーキング最新情報

昨今、話題になっている英国(イギリス)のEU離脱に焦点を当てて行きたいと思います。

イギリスが欧州連合(EU)を脱退する2019年3月29日まで約半年となりました。

このイギリスの脱退は、Britainとexitを合わせた混成語でBrexit(ブレグジット)と称されています。

現在、ブレグジットに際し、EUとイギリス間では、様々な問題点についての議論が行われています。

しかし、いまだそれらのほとんどの項目について、具体的な対応策が設けられておらず、場合によっては、「合意無き離脱(no deal Brexit)」となる可能性もある様です。

 

英国(イギリス)及びEUに対する日本からの要望について

英国のEU脱退に対し、我が国からも「英国のEU離脱に関する政府タスクフォース」*にて英国及びEUに対して、次の様な要望が出されています。

 

【英国及びEU双方への要望事項】

・ 現行の関税率や通関手続等の維持

・ 原産地規則の累積規定の導入

・ 英国籍・欧州大陸籍の労働者へのアクセスの維持

・ 金融単一免許制度を含む金融サービスの提供及び設立・開業に関する自由の維持

・ 国境を越えた投資・サービスやグループ企業間を含む資金移動の自由の維持

・ 情報保護の水準とデータ移転の自由の維持

・ 統一的な知財の保護

・ 英・EU間の規制・基準の維持(既に確立している相互承認や同等性の枠組みの維持を含む。)

・ ユーロ決済センターの機能,欧州医薬品庁等の英国内EU機関の立地等の利便性確保

・EU研究開発予算へのアクセス,日EU共同研究開発への英国の関与

 

【英国のみに対する追加的要望事項】

・ 関税や税関手続等の負担の無い物品貿易の自由

・ 必要な技能を持つ労働者へのアクセスの維持

・ 外資参入に係る基本政策の維持

・ 投資促進策の実施

・ 独自のデータ保護法制を制定する際の情報保護の水準とデータ移転の自由の維持

・ 英国の独自規制・基準のEUの規制・基準との整合性の確保

・ 英国研究開発予算へのアクセス

 

【EUのみに対する追加的要望事項】

・ 単一免許制度に係る経過措置等の導入

 

*http://www.kantei.go.jp/jp/singi/euridatsu_taskforce/pdf/message.pdfより引用

 

イギリスへのCEマーキングは今後どうなっていくの?

このコラムをご覧頂いている方々は勿論の事、我々が特に注目していかなけばならない事は、“CEマーキング”制度の運用についてです。

現状は、イギリスはEU加盟国の一つであり、製品をイギリスへ出荷する場合は、適切な対応を行った上でEU域内の統一制度であるCEマークが製品のパスポートとなり、出荷が可能となります。

しかし、ブレグジット後はどうなるのか?2019年3月29日以降については、具体的に決まっておらず、未だ不明確です。

但し、今年3月の英国 – EU間の合意により、ブレグジット後の移行期間を2020年末までとする合意が結ばれていますので、移行期間中は従来通りのCEマーキング制度を利用することができそうですが、移行期間後の2021年以降の対応を考えていく必要があります。

例えば、移行期間中の貿易協定はEUのものが適用される様です。

これらの懸念点について、先日イギリス政府ホームページより貿易製品に関するガイダンスが発行されました。

ガイダンスは、以下の英国政府のホームページにて閲覧が可能です。

Guidance「Trading goods regulated under the ‘New Approach’ if there’s no Brexit deal」

 

CEマーキングに関する英国(イギリス)政府の見解は?

イギリス政府が出しているガイダンス「Trading goods regulated under the ‘New Approach’ if there’s no Brexit deal」について、内容を以下にまとめました。

 

【イギリスの考え】

・イギリスが合意無しにEUを離脱するというシナリオは、イギリスとEUの相互利益を考えると、望ましくない。

・EUとの交渉は順調に進んでいるが、交渉の結果が確実になるまで、“合意無き離脱”を含む全ての事態に備える事が政府の義務である。

 

【このガイダンスの目的】

・EUの法的枠組みであるCEマーキング制度は、2019年3月に英国が合意無しにEUを離脱した場合には適用されない為、貿易製品関する対応方法を明確にする。

・このガイダンスは、以下の附属書(Annex)Aに挙げられている欧州規則又は指令(機械指令、低電圧指令、EMC指令等)の適用となる製品を対象としている。(但し、このリストは更新される可能性がある)

 

Annex A - EU directives and regulations covered by this notice

・(市場監視)Regulation for Accreditation and Market Surveillance – 765/2008

・(玩具指令)Toy Safety - Directive 2009/48/EU

・(RoHS指令)Restriction of Hazardous Substances in Electrical and Electronic Equipment - Directive 2011/65/EU

・(建築資材規則)Construction products - Regulation (EU) No 305/2011

・(花火・火工品指令)Pyrotechnic Articles - Directive 2013/29/EU

・(レジャー用船舶指令)Recreational craft and personal watercraft - Directive 2013/53/EU

・(民生用爆薬指令)Civil Explosives - Directive 2014/28/EU

・(簡易圧力容器指令)Simple Pressure Vessels - Directive 2014/29/EU

・(EMC指令)Electromagnetic Compatibility - Directive 2014/30/EU

・(非自動重量測定器指令)Non-automatic Weighing Instruments - Directive 2014/31/EU

・(計量機器指令)Measuring Instruments - Directive 2014/32/EU

・(昇降機リフト指令)Lifts - Directive 2014/33/EU

・(防爆機器指令)ATEX - Directive 2014/34/EU

・(無線機器指令)Radio equipment - Directive 2014/53/EU

・(低電圧指令)Low Voltage - Directive 2014/35/EU

・(圧力機器指令)Pressure equipment - Directive 2014/68/EU

・(海上機器指令)Marine Equipment - Directive 2014/90/EU

・(個人用保護具規則)Personal protective equipment - Regulation (EU) 2016/425

・(ガス機器規則)Gas appliances - Regulation (EU) 2016/426

・(機械指令)Machinery Directive – Directive 2006/42/EC

・(屋外用機器の騒音指令)Noise emission in the environment by equipment for use outdoors – Directive 2000/14/EC

・(エコデザイン指令)Ecodesign directive – (2009/125/EC)

 

【2019年3月29日までの対応】

・これまでと同様(CEマーキング制度)

2019年3月29日まではCEマーキングが使えますので、この日までにイギリスに出荷される製品は従来通りのCEマーキング制度に従ったやり方となります。

 

【2019年3月29日以降の対応】

(既存製品及び移行期間内の対応)

・既に市場に出されている商品は、英国で引き続き流通する事が可能。

・更にEUの要件を満たし(EU認定の適合性評価機関によって試験された)商品は、英国市場に置く事が可能。(但し、この対応は期限付きである)

・英国の認証機関が実施した適合性評価の結果は、EUでは使用不可となる。

・英国の認証機関が試験した製品は、EU認定の適合性評価機関による再検査や再マーキングをしなければ、EU市場に置く事が出来なくなる。

 

(移行期間以降に関連すると考えられる内容)

・英国市場で商品を販売する製造業者は、英国市場に製品を置く前に、新しい英国適合マークを貼り付ける。

・これらのマーキングの詳細は、2018年の後半に発表され、企業が準備するのに十分な時間がある。

・既存のEU規則及び指令の整合規格は、英国の必須基準との適合性を証明するために使用される英国の指定基準となる。

・上記の様に離脱直後は、イギリスの必須要件は、EUの必須要件と同じになる。

 

イギリスのEU離脱による製造者(メーカー)の対応とは?

(イギリス市場に製品を輸出する製造者)

・EUの要件を満たす製品、即ちCEマーキング品は、再試験や再マーキングの必要無しに、引き続き英国市場に製品を輸出する事が可能。

・但し、移行期間後は、新たなマーキング制度の運用となるが、期間が終了する前に十分な通知が企業に与えられる。

 

イギリスのEU離脱後、移行期間後は新たにマーキング制度が誕生するようなことが掲載されていますので、今後も情報に注視していく必要があります。

 

(EU域内に製品を輸出する製造者)

・イギリスの認証機関が試験した製品は、EUの内部市場に置く前に、EUの認証機関による再検査を受ける必要がある。

・合意無き離脱となった場合は、イギリスの認証機関はEUの認証機関では無くなる。

・イギリスの認証機関が試験した製品の場合は、評価ファイルをEUの認証機関に送り、有効性を認めて貰う対応も可能となる。

・但しこの場合でも、新しいEUの認証機関のNB番号が必要である。

 

イギリスのEU離脱におけるCEマーキングの重大ポイントとは?

“合意無き”ブレグジットとなった場合は、移行期間はあるものの新マークでの運用が進められそうです。

この”合意無き”という言葉が重要なポイントとなりそうです。

 

また、規格等についてはEUと同じものを使用する様ですが、果たしてCEマーキングでは自己宣言で問題無かった製品がイギリスのEU離脱後も自己宣言製品としての運用が可能なのかといった点についても、未だ詳しくは言及されていません。

現状では、イギリス – EU間で自由貿易についての合意がされ、これまでと同様のCEマーキング制度が引き続きイギリスで使用されるのが日本政府の考えと同じくメーカ様にとっても好ましいのではないでしょうか。

本件については、引き続き調査していきますので、追加情報がありましたら本コラムでご紹介致します。

 

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2018年10月03日