CEマーキング 輸入業者

 

CEマーキング 輸入業者の義務

 CEマーキングでは、「製造者」「認定代理人」、「輸入業者」、「流通(供給)業者」の4つが事業者の定義として規定されています。

今回は、EU域内に製品を輸入している「輸入業者の義務」について、ご紹介したいと思います。

 

CEマーキングで定義される「輸入業者」とは?

 まず、ここで扱う「輸入」とは、EU域外で製造された製品をEUに上市することを指しています。

1つのEU加盟国で製造された製品を他の加盟国で上市するというケースは、EU域内の自由流通であり、輸入ではありません。

(例えば、イタリアで製造された製品をドイツで販売する場合は、輸出入とはならず、自由流通です。)

EU域外の第三国で製造された製品をEU域内に上市することを輸入としています。

 

EUでは、輸入業者とは、以下のように定義されています。

・EUに設立され、第三国からの製品をEUに上市する自然人、または法人である。

・輸入業者の義務は、製造者の業務を基にしている。

 

輸入業者とは、EU域内に設立され、第三国からの製品をEUに上市する事業者であり、EU整合法令の下で明確に定義された責任を負うとされています。

輸入業者に課される責任とは、製造者自身が果たすべき義務を満足していることを確実にしなければならないということになります。

つまり、輸入業者は、輸入される製品の適合性について、その製造者が適合性評価を行い、EU法令に適合していることを証明できる製品だけを輸入しなければならないということです。

 

輸入業者の義務とは?

 輸入業者の義務は、簡単に述べると、適合している製品のみをEUへ上市することになりますが、次のように定義されています。

 

一般原則として、輸入業者は製品を上市する前に次を確実にしなければならない。

 1. 適切な適合性評価手続きが製造者によって実施されていること。

  製品の適合性に疑いがあるとき、上市を中止しなければならない。

  既に製品が上市されている場合は、是正処置を行わなければならない。

  いずれの場合も製品の適合性の疑いを明らかにするため製造者とのコンタクトが必要である。

 2. 製造者が技術文書を作成し、関連する適合マーク(例えばCEマーク)を貼付し、トレーサビリティの義務を満たし、  さらに、該当する場合には、取扱説明書、及び安全に関する情報について、消費者、及びエンドユーザーが容易に  理解できる言語で添付しなければならない。

 

これらの輸入業者に課せられた義務は、適合した製品のみを上市する責任があることを意味していますが、輸入業者が製品受け入れ検査の一環として、追加管理手続きや、第三者機関による試験を行う等の必要があるわけではありません。

 

また、トレーサビリティ情報として、次の3つの要素、輸入業者の(1)名称、(2)登録商標名、または登録商標マーク、及び(3)コンタクト可能な住所を製品上に表示しなければなりません。

製品のサイズ、物理特性のために、開梱する必要があるため、それが不可能な場合は、梱包上、または添付物に表示しなければなりません。

これによって、製品上又は添付物上に表示された安全表示の視認性を妨げてはなりません。

 

輸入業者の義務を守るために必要なこと

 輸入業者の義務は大きく2つあり、(1)CEマーキング適合品をEUへ上市すること(2)製品トレーサビリティ情報、ユーザーへの情報提供を確実にすることです。

 

(1)CEマーキング適合品をEUへ上市するという義務に対して、製品が輸入業者の責任下にある間、保管や輸送条件において、適用法令に示された要求への適合性を損なわないようにすることも必要となります。

さらに、EU適合宣言書のコピーをEU上市後10年間、または関連EU法令で定められた期間は、保管しなければなりません。

これは、所管国家当局から要請があれば、技術文書TCFの提供、適合性証明に対する協力、適合性の立証のために必要なあらゆる情報、及び文書を当局が容易に理解できる言語で提供できるように備えておかなければならないことを意図しています。

また、輸入業者は、特定のEU整合法によっては、製造者のように、既に上市された製品のサンプル試験の実施、委託を要求されることがあります。

 

輸入業者は、上市した製品が不適合品であると確信できる場合、直ちに製品を適合させる、回収する、またはリコールするための必要な是正処置を講じなければならないとされております。

製品がリスクを引き起こす可能性がある場合は、直ちに所管国家当局へ報告しなければなりません。

例えば、部品の廃番や構造変更で、設計変更が生じたが、当初に行ったCEマーク適合性評価のまま更新評価を行っていない場合は、注意しなければなりません。

 

(2)製品トレーサビリティ情報、ユーザーへの情報提供を確実にすることに関しては、製品の識別情報が要求されますが、特に製造者とのコンタクトを確実にしなければなりません。

様々な機種を大量に様々な販売網を介してEUへ上市している場合は、注意しなければなりません。

輸入業者が、製造者に代わって管理業務を行う場合は、製造者から指名された認定代理人として契約し、認定代理人としての義務を負います。

 

まとめ

このように、EU域内に設立された輸入業者の義務は、「CEマーキング適合品だけをEU市場へ上市すること」、「製品トレーサビリティ情報を確実にすること」の2つです。

日本のようなEU域外の製造者が、EUの輸入業者を介して消費者、エンドユーザーに販売を行う場合、EUの輸入業者はCEマーキング適合品であることを条件に自由流通させることができるものとなります。

 

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2020年12月28日