TCF(テクニカルファイル)はいつまでに必要?

 

CEマークの関連法令はいつの時点から適用されるのか?

 CEマーキング適合支援サービスを行っておりますイーエムテクノロジーです。

今回は、お客様からもよくご質問を頂くことがある「CEマーキングのEU法令がいつの時点から適用されるのか?」ということをテーマにしたいと思います。

欧州への製品出荷が迫る中、時間的な問題で文書整備の作業時間が足りないなど、心配になることがあると思います。

基本的には欧州へ到着し、通関するまでには揃えておきたいところですが、様々なケースが考えられますので、詳細について確認していきたいと思います。

CEマーキングの対象となる製品が日本から欧州へ出荷される際、どのタイミングから欧州法令が適用されるのか、についてご紹介していきたいと思います。

 

まず、参考にして頂きたいのは、EUの欧州委員会から発行されている委員会告示「EU製品規則の実施に関するブルーガイド2016」(EEA関連文書)(2016/C 272/01)です。

ブルーガイドは、法令ではありませんが、欧州委員会が発行している公式なCEマーキングのガイド本ですので、必ず読んでおくことをおすすめ致します。

今回はそのブルーガイドから、「EU整合法令は製品にいつ適用されるのか?」欧州へ出荷される製品がCEマーキング法令を受けるタイミングについてご紹介致します。

 

重要な3つのキーワード:「上市する」「使用する」「利用可能な状態」

 ブルーガイド2016には、次のとおり記載されております。

 

(以下、ブルーガイドより抜粋)

2.1.  PRODUCT COVERAGE

「カバーされる製品」

— Union harmonisation legislation applies when the product is placed on the market and to any subsequent operation which constitutes making available until it reaches the end-user.

— EU整合法令は、製品が上市される時、及び、エンドユーザーに引き渡すまでに利用可能な状態となる時に適用される。

 

— Union harmonisation legislation applies to all forms of selling. A product offered in a catalogue or by means of electronic commerce has to comply with Union harmonisation legislation when the catalogue or website directs its offer to the Union market and includes an ordering and shipping system.

— EU整合法令は、あらゆる販売形態に適用される。カタログで提供される製品又は、電子商取引による製品は、カタログ又はウェブサイトがEU市場への提供を指示し、発注及び出荷システムを含む場合、EU整合法令を満たさなければならない。

 

— The Union harmonisation legislation applies to newly manufactured products but also to used and second-hand products imported from a third country when they enter the Union market for the first time.

— EU整合法令は、新しく製造された製品だけでなく、第三国から輸入される使用済み及び中古製品も、それらがEU市場に初めて入るときに適用される。

 

— Union harmonisation legislation applies to finished products.

— EU整合法令は、最終製品に適用される。

 

— A product which has been subject to important changes or overhauls aiming to modify its original performance, purpose or type may be considered as a new product. The person who carries out the changes becomes then the manufacturer with the corresponding obligations.

— 製品の本来の性能、目的または型式を変更することを目的として重要な変更又はオーバーホールされた製品は、新製品として見なすことができる。変更を実施する者は製造者と見なされ、それに相当する義務を負う。

 

EU整合法令は、(1)「上市すること」(2)「使用すること」を意図された製品に対して適用され、エンドユーザーに渡る前に(3)「利用可能な状態になる」ときに適用されます。

 

(1)「上市すること」

 船舶機器に関する指令2014/90/EUでは、EU加盟国の国旗を掲げる船舶への積込時を指しています。

この「上市」という言葉は、EU市場に製品を流通させる場合に使われる言葉になります。

上市の定義については、ブルーガイド2016の2.3項「上市」に、次のとおり記載されております。

 

(以下、ブルーガイド抜粋)

2.3. PLACING ON THE MARKET 「上市」

— A product is placed on the market when it is made available for the first time on the Union market.

-製品が、EU市場で初めて*利用可能な状態にあるとき、上市とされる。

*「利用可能な状態」・・・下記の(3)「利用可能な状態になる」を参照下さい。

 

— Products made available on the market must comply with the applicable Union harmonisation legislation at the moment of placing on the market.

-市場で利用可能な状態にある製品は、上市される時点で適用されるEU整合法令に適合しなければならない。

製品がEU市場で初めて利用可能な状態にされるとき、「上市」されたものとなります。

 

「上市」の定義については、次のとおりです。

この上市するという行為は、製造者又は輸入業者に限定して行われる行為であるため、卸業者のような供給業者やユーザーに製品を販売する販売業者が携わる段階ではすでに上市しているものと解釈されます。

製造業者や輸入業者から流通業者に渡り、EU市場へ投入されたときに、上市されたものとなります。

流通業者から別の流通業者へ、また、流通業者からエンドユーザーへ製品が渡ることに対しては、「利用可能な状態」にあるものと定義されます。

また、製造者や輸入者が、製品を初めて上市するときとありますが、この「初めて」という意味は、同型式であっても個別の製品に対して適用される言葉になります。

すなわち、初めて上市するという言葉の解釈は、例えば、CEマークを貼り付けたある製品型式が初めてEU市場へ流通するときに限った話ではなく、引き続き市場へ出荷される個々の全数(機番毎の個体)に適用されるという意味です。

従って、継続生産中のある製品型式が設計変更を行った場合や、適用されたEU法令(指令)や規格が新しく改訂されたときは、個別製品に対してその要求が適用されることになるので注意が必要となります。

 

継続生産中の製品が設計変更となった場合は?

 例えば、CEマーク付きの型式Aは、2015年にEMC試験や安全試験を実施し、適合宣言を行っているが、その後、変更設計が必要となった型式A’にCEマークを貼り付けて型式A’を継続的にEU市場へ上市する場合は、設計変更の内容によって再試験や適合宣言をやり直す必要があります。

継続生産中の製品が設計変更となった場合

 

 

指令や規格に改訂が生じた場合はどうなるの?

 例えば、CEマーク付きの型式Aは、2010年にEMC試験や安全試験を実施し、適合宣言を行っているが、その後、EU整合法令/規格が改訂された。

その後も型式AにCEマークを貼り付けて継続的にEU市場へ上市する場合は、上市時点におけるEU法令が適用されることになるため、格上げ評価が必要となります。

製品を上市するには、製造段階以降の時点における二者以上の法人間の所有権、保有又はその他の権利移転に関する契約書又は協定書の提示(書面又は口頭)が必要です。

この権利の転移は、有償又は無償を含み、必ずしも製品の物理的な引渡しは必要ではありません。

指令や規格に改訂が生じた場合

 

 

上市に該当しないケースとは?

 製品の上市とは、製造段階以降の時点を指しており、製造完了前に取り交わされた契約提示や協定等は上市とは見なされません。

例えば、製造完了前に当事者間契約を締結しており、予めEU域内への輸送手続きが済んでいたとしても、製造途中で製造完了前に追加仕様が発生した場合、製造が完了していない限り、上市されたものとはならないということです。

 

次に該当する場合は、上市とは見なされないことになっております。

(以下、ブルーガイド抜粋)

 

— manufactured for one's own use.

Some Union harmonisation legislation however covers products manufactured for own use in its scope,

-自社使用のために製造されたもの。

しかし、EU整合法令の中には適用範囲に自社使用のために製造された製品に対しても適用対象にしている指令があります。

自社使用のために製造された製品については各指令(機械指令、計量器指令、防爆機器指令、民間用爆発物指令)を確認する必要があります。

なお、EU整合法令が自社使用について対象としている場合、非商用の個人使用目的の臨時製造のようなケースを指すものではありません。

 

— bought by a consumer in a third country while physically present in that country and brought by the consumer into the EU for the personal use of that person,

-第三国に物理的に存在している間に消費者によって購入され、その消費者による個人使用目的によるEUへの持ち込み。

— transferred from the manufacturer in a third country to an authorised representative in the Union whom the manufacturer has engaged to ensure that the product complies with the Union harmonisation legislation,

-第三国の製造業者からEU域内の認定代理人へ移転し、製品のEU整合法令への適合性を確実とする契約が取り交わされた場合。

— introduced from a third country in the EU customs territory in transit, placed in free zones, warehouses, temporary storage or other special customs procedures (temporary admission or inward processing),

-第三国からEU税関区域への運搬持ち込み、非関税地域、倉庫、一時保管、又はその他の特別税関手続き(一時的な入国許可、又は内部処理)

— manufactured in a Member State with a view to exporting it to a third country (this includes components supplied to a manufacturer for incorporation into a final product to be exported into a third country),

-第三国への輸出目的で、加盟国内における製造の場合(第三国に輸出される最終製品に組込むために、製造者へ供給される構成部品を含む)

— transferred for testing or validating pre-production units considered still in the stage of manufacture,

-製造段階と見なされる試作品の試験又は検証のための移動。

— displayed or operated under controlled conditions at trade fairs, exhibitions or demonstrations,

-見本市、展示会またはデモンストレーションで、管理下において展示又は、デモンストレーションを行う場合

管理下とは、専門家による操作や、その他近接する製品への干渉回避などを含む。

デモンストレーションは、当該製品を適合させるまで上市することができない旨について、視覚的に表示する必要がある。

or — in the stocks of the manufacturer (or the authorised representative established in the Union) or the importer, where the product is not yet made available, that is, when it is not being supplied for distribution, consumption or use, unless otherwise provided for in the applicable Union harmonisation legislation.

-製品がまだ利用可能でない状態にある、流通、消費又は使用のために供給されていない状況下にあり、製造者(又はEU内に設立された認定代理人)または、輸入業者が保管している場合。

ただし、適用されるEU整合法令で別途規定されている場合を除きます。

このようなケースに該当する場合は、上市に該当しないものと考えられます。

 

オンライン販売における上市とは?

オンライン販売における上市とは?

 

 主に、インターネット販売などを使って販売される場合は、製品を上市したか否かに関係なく、EU市場に上市されたものと見なされます。

主な事業者の区分けは、製造業者、認定代理人、輸入業者、供給業者ですが、オンライン販売の場合、新たにオンライン事業者という分類があるわけではなく、オンラインシステムの運用を行う従来の事業者のことを指します。

EU域外のオンライン販売者により、EU消費者や特定ユーザーへ販売・供給される場合は、EU市場に上市されたものと見なされます。

インターネット販売の場合、そのウェブサイトがEUの消費者をターゲットにしているかどうかについては、配送可能地域、注文や販売のために使用されている言語、支払い方法等の様々な要因を考慮し、ケースバイケースで判断されます。

EUへ納入するオンライン事業者は、EU言語を使用し、EUの消費者/エンドユーザーによる支払いを受け入れる場合、製品をEU消費者/その他のエンドユーザーに供給することを選択したものとみなされます。

オンライン事業者は、既に製造された製品型式又は、個々の製品をオンラインで販売することができます。

製品型式を定めて販売する場合は、製造段階が完了した製品のみを上市することになります。

オンライン事業者により、販売される製品は、EU内の消費者又は企業から発注される(または既に購入されている)ものであると考えられ、オンライン販売上の商業活動プロセスを経て、供給されます。

一般的に、オンライン販売では、支払いと引き換えに製品が提供されますが、無償の製品提供も商業活動上、可能です。

消費者から消費者への販売(CtoC)に関しては、一般に商業活動とはみなされませんが、商業活動の枠組みの中で、CtoCによる製品供給が行われているかどうかの判断は、供給の規則性、供給者の意向など、すべての関連基準を考慮し、ケースバイケースで判断されます。

法的結論としては、オンライン事業者により販売目的で提供される製品が上市される時点で、適用される全てのEU法令を遵守する必要があります。

EU法令のコンプライアンス遵守として、製品が法の管轄下にある場合には、税関において、責任当局が直ちに、物理的検証を行うことができるようになっています。

さらに、オンライン事業者によって提供される製品は、EU消費者への迅速な配送を保証するため一般的には、EUに設置されたフルフィルメント会社(通販会社)で保管される。

フルフィルメントとは、お客様が商品を発注してから手元に届くまでに至る業務全般のことを指す言葉です。

ここでは、通販会社のことを指しています。

したがって、このような通販会社で保管される製品は、EU市場での流通、消費、又は使用のために供給されたものとみなされ、EUへ上市とされたものと見なされます。

オンライン事業者がEUの通販会社を利用する場合は、通販会社に製品を出荷した段階では、製品はサプライチェーンの流通段階にあるものと考えられます。

この文脈で用いられる「オンライン事業者」という言葉は、仲介業者をカバーしておらず、通販会社の仲介責任問題に対処しようと述べたものではありません。

 

このように、上市とは、EU整合法令の適用に関する最も重要な時点です

EU適用法令の必須要求事項に基づく設計は、リスクアセスメント及び適合性評価、EU適合宣言書の発行、CEマーク表示、製造者名/製造者の住所等の表示、技術文書(Technical Documentation)/技術構造ファイル(Technical Construction File)の作成を経て、上市時までに、製造者によって完成されなければならないこととなっております。

製品は、「利用可能な状態」になる上市時点で、適用されるEU整合法令に適合しなければなりません。

従って、EUで製造された新製品、及び第三国から輸入された全ての製品(新品、中古品)にかかわらず、個々の製品がEU市場で最初に利用可能になる時点(上市時点)で、適用されるEU整合法令の規定を満たしていなければなりません。

 

サプライチェーンに沿って上市された適合製品は、法令で別に定めがある場合を除き、上市後に適用されるEU法令や、関連する整合規格の改訂があっても、追加要求されることなく、引き続き利用可能とされます。

これは、個々製品に対し、上市時点で適用されるCEマークに関する各指令、使用した整合規格による評価・試験等が、上市後に改訂されたとしても、すでに上市した製品に対しては、追求されないという意味です。

 

すなわち、上市時点で有効なCEマーキングの各指令、整合規格を満たす必要があります。

もし、規格改訂時に継続生産されている場合は、規格の格上げが必要となってきます。

加盟国は、安全で適合した製品のみが市場流通していることを確実にするために、市場監視が義務付けられています。

EU市場にある中古製品は、TFEU第34条および第36条に定める原則に従って自由に移動することができます。

市場監視については、別途、本コラムで取り上げたいと思います。

商業活動の過程で消費者に提供される中古製品は、GPSDの対象となることに注意する必要があります。

 

(2)「使用すること」

 例として、製造者自身によって使用される機械の「自社使用」が「上市」と同等の意味で扱われるEU法令があります。

ブルーガイド2.5項「2.5.使用すること、又は使用(及び設置)」を参照。

EU整合法令が適用されるタイミングを決めるキーワードのひとつである、「使用すること」とは、EUへ出荷された製品の使用される時点について、ブルーガイド2016の2.5項に、次のとおり記載されております。

 

(以下、ブルーガイド抜粋)

2.5. PUTTING INTO SERVICE OR USE (AND INSTALLATION)

2.5. 製品サービスを提供又は使用すること(及び設置)

 

-The moment of putting into service is relevant for some Union harmonisation legislation.

-製品サービスを提供するその時点において、いくつかのEU整合法令が関連してきます。

-Putting into service takes place at the moment of first use within the Union by the end user for the purposes for which it was intended.

-製品サービスを開始するとは、EU域内において、エンドユーザーが初めて意図した目的のために使用した時点で使用するということになります。

 

ここでいう「使用すること」の意味は、EU域内で、エンドユーザーが意図した目的のために使用することを指しており、製品を最初に使用するその時点において適用されます。

「使用すること」の概念は、全てのEU整合法令に関係するわけではなく、例えば、「爆薬」では、この概念は当てはまりません。

リフト及び同等の製品に関しては、 EU域内で初めて使用可能となる状態になった時点で、「使用すること」ができると見なされます。

この「使用すること」というコンセプトは、例えば、リフト、機械、無線機器、計測機器、医療機器、インビトロ診断医療機器、EMCまたはATEX指令といった複数の指令が適用される製品の上市にさしあたり用いられます。

これらEU整合法令は、製品が利用可能となる時点以降においても、法令の適用範囲として取り扱われます。

新たなEU整合法令が発効される場合は、置換えられる法令の移行期間終了前に上市された適合製品は、特定の法令内で他に規定されない限り、使用することができます。

企業に雇用されたユーザーが、製品をその企業のために使用する場合、その企業はエンドユーザーとして見なされます。

加盟国は、適用可能なEU整合法令にある規定を満たす適合製品の使用を禁止、制限、または妨害することはできません。

ただし、無線機器指令の第7条では、使用についての制限が規定されています。

加盟国は、無線スペクトラムの有効且つ適切な利用のため、有害な干渉の回避、又は公衆衛生に関する事柄に対して、無線機器を使用について制限することができるようになっております。

しかし、加盟国は、条約(TFEU第34条及び第36条)及びEU整合法令に従うことを条件として、労働者や他のユーザーまたは他の製品の保護を目的とした製品の上市、設置または使用のための追加の国家規定を維持・採択することが認められています。

TFEU(the Treaty on the Functioning of the European Union)とは、EUの機能に関連する条約のことでEU機能条約と言われております。

このような国家規定では、適用されるEU整合法令の規定に従って製造された製品の改造を要求しない場合があります。

 

「使用すること」のその時点における製品のコンプライアンスの証明は、及び該当する場合、製品目的のための意図した設置、保守、使用されていることを検証する必要があるものは、次の製品に限定されます。

 

-使用前の上市されていない製品、又は組立、設置その他の操作が行われた後でのみ使用可能になる製品

または、

-その製品のコンプライアンスが流通条件(例えば、保管又は輸送)によって、影響を受けることがある製品

 

このような製品に関しては、「使用する」その時点において、EU整合法令への適合証明ができていなければなりません。

 

 

(3)「利用可能な状態になる」

 そして、最後の「利用可能な状態になる」という言葉について見ていきましょう。

ブルーガイド2016の2.2項には「市場で利用可能にすること」について、次のとおり記載されております。

 

(以下、ブルーガイド抜粋)

2.2.MAKING AVAILABLE ON THE MARKET

「市場で利用可能にすること」

 

1) — A product is made available on the market when supplied for distribution, consumption or use on the Union market in the course of a commercial activity, whether in return for payment or free of charge.

-製品は、有償又は無償にかかわらず、商業活動の過程で、EU市場で流通、消費又は使用のために供給されたときに、市場で利用可能になるとされます。

 

2) — The concept of making available refers to each individual product.

-利用可能にするという概念は、個々の製品に適用されます。

 

まず、1)についてですが、市場で利用可能になるということについて、「EU市場で流通、消費、又は使用のために供給されるとき」とありますが、使用のための供給という言葉がポイントになってきます。

 

市場で利用可能になるということは、ブルーガイドにも記載されていますが、EU市場でユーザーに対し、実際に供給されるという結果を意図した購買広告、キャンペーンといった製品使用を目的としたユーザーへの広告の掲示を含み、ユーザーが製品の使用を意図するような製品供給にあたる行為を指しています。

つまり、EU市場で利用可能になるということは、製品がEU市場で最終使用されることを意図した製品の供給行為のみを指すと考えられます。

 

最終製品への組込みや、更なる流通、又は最終製品のEU市場外への輸出のための処理や改造のための製品の供給行為は、いずれも利用可能になることとは見なされません。

 

商業活動の過程とは、関連する業務状況下での物品の提供と解釈されます。

もし、非営利組織がそのような状況で運用しているのであれば、商業活動を実施していると考えられることもあり、供給の安定性、製品の特性、供給目的等を考慮して、事例毎において評価されます。

原則として、チャリティーや愛好家によるその時々の供給行為は、関連する業務状況下での出来事とはとらえるべきではありません。

 

「使用」という言葉の定義は、合理的に予見可能な条件下において製品の意図された目的を果たせるという状況になります。

製品の最終的な使用とは、合理的に予見可能という点ということを踏まえ、製造者によって定められます。

通常使用が可能であると合理的に予想できるということになります。

利用可能になるという言葉のコンセプトがEU法令で果たす意味合いとは、製品のサプライチェーンの全ての事業者が、トレーサビリティーを義務付けられ、適合した製品だけがEU市場に出回ることを確実にするという全事業者がその役割を果たす必要があるという事実に関係しています。

 

2)については、利用可能になるという言葉のコンセプトは、製品型式に関係せず、個別生産又はシリーズ生産に関係なく、個々の製品に対して適用されます。

製品が利用可能になるということは、当該製品に関して製造後に生じる二者以上の法人又は自然人との間の所有権、保有または他の権利の移転に関する提示や協定(書面又は口頭)の取り交わしが想定されます。

製品の移転とは、必ずしも製品の物理的な受け渡しを指しているものではなく、有償又は無償にかかわらず、あらゆる形式の法的手段(例えば、販売、貸与、賃借、賃貸、及び贈与)の状況下において発生すると考えられます。

所有権の移転は、製品が他の法人又は自然人の自由裁量の下に置かれることを意味しております。

 

このように、「利用可能になる」という言葉は、EU市場で最終使用が可能となる供給行為を指しており、個々の製品に適用されるということです。

重要なことは、最終使用者から見た製品サプライチェーンの全事業者が、トレーサビリティーを持ち、EU法令に適合している製品だけがEU市場に出回ることを確実にするために定義しているということに注意して頂ければよいと考えられます。

 

まとめ

 様々なケースが考えられますが、製品は、上市された(又は使用することにされた)時点で法的要求を満たさなければなりません。

「上市すること」、「使用すること」、「利用可能になる」という、3つのキーワードがポイントとなってきます。

 

当社では、このような法令の適用、規格の要求事項に対する製品対応などの技術コンサルティング業務を行っております。

CEマーキングを行う上で必要となる法令・規格の解釈など、ご相談ごとがございましたらお気軽にお声がけ下さい。

 

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2019年10月15日